[台湾] 願いが必ず叶うお寺”陰廟“の話①
道教寺院は「陽廟」と「陰廟」に分かれている
前々回のブログで、台湾の巷に甍を並べる道教のお寺は「○○宮」、「○○廟」、「○○観」などと呼ばれるとお話ししました。これらは規模などを表す分類なのですが、じつはもうひとつ重要な分類があります。「陽廟」と「陰廟」という分類です。台湾にある道教寺院のすべてがこれで大別されます。
ほとんどは陽廟です。道教寺院といえば、一般的にはこれです。一方、陰廟はローカル性が高いため、ガイドブックに紹介されることは稀です。
しかも、紹介されたとしても「陰廟」とは謳われません。
両者の違いは明瞭です。陽廟は「神様」を祀るお寺、陰廟は「死んだ人の魂」を祀るお寺です。
中国では事故や天災、戦争、処刑などで不慮の死を遂げた人の魂は、ときに生者に祟りをなすという信仰があります。じつは“普通に死んだ人”も祟ることがあるのですが、このお話は別の機会に譲ります。
このように死霊が祟るという考え方は中国に限らず、世界のどの文化にもあります。日本にももちろんあります。陰廟は日本でいえば、「御霊信仰」によって建立された神社に似ているかもしれません。
陰廟にお参りする際の決まり事
陰廟をお参りするにはいくつかの決まり事があります。
たとえば「決まった願い事がない場合はむやみにお参りしない」とか「男性が女性との出会いをお願いしてはいけない」など。陰廟かどうかの見分けも、地元の人に聞かないとつきません。なので、知らないうちに何となく陰廟にお参りしていた……。なんてことも十分にありえます。
そうなるとどうなるのか?無責任なことは言えませんので、ここでは控えさせていただきます。
さて、陰廟には廟ごとに特定のご利益があります。もし、決まった願い事があるなら、それを叶えるご利益のある廟をピーポインにお参りすることが重要です。
しかも、「願いは必ず叶う」というのが陰廟の最大の特徴のひとつです。「有求必応」と書かれた額のある廟を見かけたら、ほぼ間違いなく陰廟です。
ただし、所願成就したら、絶対に御礼参りをしなくてはいけません。これも陰廟の決まり事なので、必ず守りましょう。もし、守らなかったら……。いくつかの実例を知っていますが、口外できません。
悪しからず。
では、次回、私がお参りした陰廟とそこでの体験をお話しします。