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法務担当者がいない会社がすぐに取り組むべきコンプライアンス対策3選
スタートアップやベンチャー企業では、法務担当者を専任で置くのが難しい場合があります。しかし、法務担当者がいなくても、工夫次第でリスクを大幅に軽減できます。
今回は、法務担当者がいない会社でも実践できる3つの具体的なコンプライアンス対策を紹介します。
1.業務に関連する法令の把握
まず取り組むべきは、自社の業務に関連する基本的な法律を理解することです。許認可ビジネスを行う場合は、特に注意が必要です。根拠となる法律の法改正などに対応しなければ許認可を取り消される可能性もあります。関連する法令を把握し、適宜チェックするようにしましょう。
具体的なアクション例:
①業務に関連する法令をリストアップ
・労働基準法(従業員を雇用している場合)
・個人情報保護法(顧客データを取り扱う場合)
・消費者契約法(商品やサービスを販売している場合)
②信頼できる情報源を活用
・行政機関のウェブサイトや業界団体のガイドライン
・定期的に更新される法務関連ニュースやセミナー
③専門家との連携
・専門家との顧問契約を行うことで、相談できる体制を構築
ポイント:
法令違反は、罰金や信頼失墜、最悪の場合事業停止になる可能性があるため、事業に必要な法令をしっかりと理解し、基本的な知識を持つことが重要です。
2.社内ルールの整備
次に、社内での行動基準やルールを明文化することが大切です。
例えば、常時10名以上の従業員がいる場合は、就業規則の作成が義務付けられているなど、法令によって対応しなければならないルールもあれば、法令上は必須ではないものの明文化しておいた方が、何かあったときに困らないものもあります。
会社の成長にブレーキをかけてしまうこともあるため、状況に合わせて、段階的に整備することを意識しましょう。
具体的なアクション例:
①就業規則の作成:従業員の権利や義務、労働条件を明確に規定します。
②コンプライアンスハンドブックの作成:従業員が守るべき行動基準を簡潔にまとめた資料を作成します。
③教育と研修:従業員に対して、基本的な法律や社内ルールに関する研修を実施します。
ポイント:
ルールを作るだけでなく、定期的に見直しを行い、現状に合った内容に更新しましょう。また、ルールを作成する際はあるべき姿だけで考えるのではなく、定めたルールを守ることができるか、厳しすぎる内容になっていないかなども考慮し、形骸化しないようにしましょう。
3.リスク管理体制の構築
最後に、リスクを事前に察知し、対応できる体制を整えることが重要です。何か起こってから対応するのでは、労力もコストもかかるため、予防に力を入れることで、重大なリスクを避けるようにしましょう。
具体的なアクション:
①契約書の確認:
契約締結時には、基本的なリスク条項(例:支払期限や解除条件)が含まれているか確認します。テンプレートを使う場合は、自社の取引内容に合わせて修正するようにしましょう。特に、修正した部分とテンプレートとして定められていた部分に矛盾が生じるなど、テンプレートの活用には注意が必要です。
②トラブル発生時の対応フロー:
顧客や取引先とのトラブル発生時の対応手順を決めておくようにしましょう。誰が対応し、どのように情報を共有するかを明確にすることで、何か起こった際にも適切に対応することができ、対応の抜けもれも防ぐことが可能です。
③外部リソースの活用:
専門家の力を借りる体制を整えておきましょう。一般的には弁護士や税理士、社会保険労務士との顧問契約が挙げられます。その他にも、法務部門としての立ち上げは難しいものの、私のような法務関連のコンサルタントなどの活用もひとつです。
リスクが高い契約や案件では、事前に相談する体制を整えましょう。
※トラブル等が予見できる場合は、必ず弁護士にすること。
ポイント:
リスク管理は「トラブルを未然に防ぐこと」にフォーカスに着目して行うようにしましょう。また法務部門がないからこそ、外部の専門家の力をフル活用するなど、アウトソーシングも選択肢の1つです。
まとめ
法務担当者がいなくても、以下の3つのコンプライアンス対策を実践することで、リスクを効果的に軽減できます。
①業務に関連する法令を把握する。
②社内ルールを整備する。
③リスク管理体制を構築する。
これらの対策は、特別な専門知識がなくても実践可能です。ただ、事業の拡大に注力している中でコンプライアンスまで検討することは難しいという意見も多くあると思います。そんなときは、第三者(専門家)の力を借りることで、事業に集中しながらもコンプライアンス強化につながります。ご興味がある方は、ぜひご相談ください!
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