観客アリ、観客ナシでパフォーマンスは変わるのか?
(写真は北京の天安門広場:2015年9月撮影)
冬季オリンピックが北京で行われています。
海外からの観客は無しです。
アスリートは静かな屋内外の競技場で競技をしています。
競技をするアスリートにとって無観客であるういうことは、「声援」や「歓声」などの「応援」がない状態で競うということです。
これらはアスリートにどのように影響するのでしょうか?
ホームゲームにおける観客の影響
新型コロナ感染症の影響により、ここ数年プロ・アマを問わず無観客や観客を制限した競技大会や試合が行われています。
観客が少なかったり、全くいない状態は、アスリートにどのような影響を与えるのでしょうか?
これまでも、ホームゲーム(自国や自陣での試合)が有利であることが観察されてきています。
オリンピックやパラリンピックでは、自国開催の時にメダル数が他国開催の時よりも増えるという現象があります。
国内で行われるサッカーや野球でもホームチームに有利に働くと広く考えられています。
しかし、ホームゲームが有利なのは、アスリートを応援する観客が多いからでしょうか?
ホームチームに生じるアドバンテージをひく起こす要因には以下のようなものが考えられていて、様々な研究もなされています。
習熟要因:慣れている競技場や環境で競技や試合を行う事ができる優位性
移動要因:長い移動時間や国外の場合の時差などがない優位性
規則要因:野球チームはホームゲームで後攻などの規則による優位性
観客要因:ホームチームを応援する観客の多さによる優位性
習熟要因や移動要因については、ホームゲームの優位性がいくつかの調査によって確認されているようですが、「観客要因」についてはサッカーの無観客試合についての研究によると、観客の有無が選手のパフォーマンスには影響しないという論文があります。
しかし、アスリートが観客の応援をどのように認識していて、その応援が選手のパフォーマンスに心理的影響を与えているのかについては、研究はなされていないようです。(ホームアドバンテージと観衆要因に関する研究:原田尚幸、他三名1996)
応援してもらう時の心強さ
選手の立場に立ってみれば、野次られていれば話しは別ですが、自分や自分のチームを応援してくれている姿を認識すれば、心理的に良い影響があることを想像することができると思います。
実際にオリンピック出場経験のあるマラソンランナーが、声援を受けることで良い記録を出すことができると話しているのを聞いたことがあります。
もちろん、アスリートによっては、競技や試合に集中していて、観客の声援は聞いていない場合もあるでしょう。
また、競技によっては観客がいたとしても、競技中に観客の応援を見たり、聞いたりすることもできないものもあるでしょう。
観客よりもコーチ陣やチームメンバーの応援が、アスリートの心理的サポートになることもあるのではないかと想像します。
実際の試合や競技の最中の応援の影響を考えてきましたが、パフォーマンスの最中よりも、そこに至るまでの間に受ける応援についても、良い影響があるのではないかと想像します。
私は野球と剣道をこれまでにやってきた経験がありますが、やはり応援してもらうと「頑張ろう」と良い心理的な影響があったように思います。
身近な仲間を応援しよう
観客の応援がアスリートのパフォーマンスに直接影響するかどうかは確かではないかもしれません。
不特定多数の人が応援をすることで、期待に応えなければならないと逆にプレッシャーに感じる人もいるかもしれません。
1964年の東京オリンピックのマラソンで銅メダルととった円谷幸吉は、メダルの期待が高まるメキシコオリンピックの年に「幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません」と遺書を書き残して自殺してしまいました。
60年近く前の出来事ではありますが、複雑な気持ちにさせられる出来事です。
しかし、自分の知らない人たちではなく、親しい仲間の応援が力を与えてくれることがあるのではないでしょうか。
鹿児島県霧島市の高千穂幼稚園での出来事を思い出します。
ご存じかもしれません。高千穂幼稚園では卒園式に、卒園する園児達が10段の跳び箱を跳ぶという行事があります。
一人の男の子が母親の病気のために卒園式の前に引越さなければならなくなり、その子のために跳び箱を飛ぶ式を引越前に行う事になったのです。
ところが、男の子がなかなか挑戦しても飛べないという事態になります。
そこで、お友達が円陣を組んで応援をします。
2分24秒のビデオですからご覧下さい。
仲間の応援が力を与えてくれると確信させられる動画です。
オリンピックでないかもしれません。
スポーツの勝ち負けでもないかも知れません。
でも、親しい仲間、同僚のパフォーマンスを応援したいと思います。
noteのスキ、コメント、フォローが、応援になっていることもあるのではないでしょうか。
最後までお読み頂きありがとうございます。