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三日月 秋
2020年12月28日 11:49
最終章 涙 県道から枝分かれした細い林道脇で、生い茂る雑草に前輪を突っ込んだまま、一台の黒い大型ジープが止まっていた。車にはフロントガラスがなく、タイヤもなくなった右後輪はホイールが波状に歪んでいる。ジープのすぐそばには、一人の薄茶色の作業服を着た中年男性が、頭から血を流し、アスファルトに顔を突っ伏して倒れていた。恐らく麗巳は、男性が運転していた車を奪い、そのまま逃走したのだろう。その