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三日月 秋
2020年12月22日 10:39
第2章 鳥「藤川先生。この子、助かるよね?」体中に包帯を巻かれた優子が点滴を打ちながら眠るベッドのそばで、心配そうな目をした吉田たい子が、優子の主治医である藤川恭吾に尋ねた。たい子の地元からは、少し離れた街に建つ藤川総合病院は、彼女が中学時代から世話になってきた病院である。特に公にできないケガを負った時に。たい子は高校を卒業すると、すぐに若い漁師と結婚し、吉田という姓に変わり住むところも
2020年12月25日 11:13
中間章 純子 集中治療室の外から仲間の学生刑事を見舞ったあと、尾行に気を付けながら重い足取りのまま自分の部屋へ帰り着き、玄関のドアを開けた瞬間、青山純子は異変に気付いた。何だ? 何かが……部屋にいる!咄嗟にヨーヨーを構え、電気も点けずに叫ぶ。「誰だ! そこにいるのは!」「待っていたよ、青山純子君」と言いながら、自分で部屋の灯りを点ける一人の男。「R機関の者か!」「そうだ」男が返