ヘッド規格"OverDrive"で苦戦した話
はじめに
GIANTの古いエントリーバイクであるDEFY4 2015のヘッドパーツ規格のOverDriveについて試行錯誤した話.
また同じトラブルに直面したとき用の備忘録なので正確性や可読性は期待しないでほしい.
が,他の方のnoteでOD1,OD2について解説している記事があって非常に参考になり,違った切り口でこの記事を書いたので誰かのヒントになればとも思う.
きっかけ
中古のGIANT DEFY4 2015(を諸々改造したもの)が手元に来てから2年目(車齢としては8年?)でヘッドパーツ付近から異音がするように.
症状としては
ハンドルを左右に切るとパキパキいう
が,回している最中の抵抗感というかゴリ感は感じない
バラして清掃・グリスアップすると数日だけ治まる
ヘッドパーツの知識は皆無で圧入やら規格やら本当に考えたくなかったのだが,インテグラルヘッドと呼ばれるタイプで圧入という力仕事は不要なことだけなんとなく知っていたのでDIYにてなんとかならないかなって思った.
(GIANT直販店遠いし普段行かないショップの雰囲気なんとなく好きくないので)
交換部品の選定
オリジナルの特定から
そもそもついてたヘッドパーツがナニモノなのか特定することに.(下のリンクは多分見られない)www.giant.co.jp/giant15/bike_datail.php?p_id=00000044#specifications
2018年とそれより前の車種のページにアクセスしようとすると現行のトップにリダイレクトされ閲覧できなくなった.
アーカイブには残っていたので無問題.
仕様書曰く,
此奴が使われているとのこと.同VP製は新品ですぐ手元に用意できなさそうだったのでGIANT製あるいは互換する他社品をあたることに.さすがに国内から買いたいし中古もなるだけ避けたいので.
買うべきサイズは1-1/8 1-1/4
先程の上1と1/8インチから下1と1/4インチというやつ,これが少し厄介でGIANTの「OverDrive」という規格のものらしい.
OverDriveと名前のついてる規格は4種,それぞれがインドとインドネシア,JavaとJavascript,メロンとメロンパンくらい違うので注意したい.
ロード向けOverDrive(初代)
MTB向けOverDrive(初代)
ロード向けOverDrive2(所謂OD2)
MTB向けOverDrive2
「GIANT対応」とか「DEFYにつく」とか「一番多いタイプ」とかそういった宣伝文句が何も信じられなくなったので,今後は「1-1/8"-1-1/4"」という数字を頼りに探す.
候補としては
GIANT ROAD TAPERED HEAD SET
純正だしカーボンのダストカバーもイケイケだけど,6050円もするし旧ロゴなのが玉に瑕
FSAのなにか(そこは調べる)
FSAのヘッドパーツは簡単に用意できそうだし純正よりも気持ち安価な印象を受けた.
あとはOD1とFSAの型番の同定をする.
(FSAとVPはそれぞれヘッド上下の内寸と外寸を打ち込むと適合したパーツを教えてくれるWebサービスもあったがすぐノギスが出てこなかったので結局使わなかった)
前述のインチを満足したのが「Orbit C-33E(No.44E/CF)」というやつ.型番のCFの有無はダストカバー的な部品がカーボン製か否かの違いなのでお好みとご予算に合わせて.
そして密林でOrbit C-33E No.44Eを購入.5000円くらいしたので結局GIANT謹製でも良かったくらいのコスト.
実際に交換してみた
まず比較
上がFSA,少し順番がおかしいが,
左から上のキャップ,スターファングルナット,ダストカバー,上のベアリングと割入りリング,下のベアリング,クラウンレース
Defyの場合フォーク表面がクラウンレースの形に元から成形されている為クラウンレースは使わなくて良い
一方下のVP製はキャップとスペーサー,ダストカバー,上のベアリングと割入りリング(下のベアリングがいない理由は後述)
ベアリング自体は上下で純正とFSA製とでビジュは変わらず.
選定時は気にしなかったがこの45°というのも大事なパラメータなのかもとも思って「しまった」と一瞬焦ったが同じだったためセーフ.
こちらは上がVP下がFSAの上ベアリングに割入りリングがセットされたものの比較.本体は同じだが割入りリングの高さが違うことがわかる.
ダストカバーの高さがFSAの方が低いことがわかる.純正はなかなか時代を感じさせるデザイン
取り付け→トラブった
フォークを外した際,フレームから下ベアリングの外側のリングだけが外れ,中身の球自体が落っこちてきてマズいと思った.残った外側のリングはフレームにガッツリ固着しておりショップに電話でアポ取って持ち込んだもののお手上げ.
勿体無いが新品のそれを解体してフレーム一体となってしまった部品以外を新しくすることに.シールドのゴムの部分をパイプかなんかで均一に引っ叩くと簡単にバラける.
上ベアリングはそっくりそのまま交換し,割入りリングとダストカバーも新品にした為,コラムが余ったので百均のパイプカッターで切断後元に戻し試走.
しかしながらいくらやってもトップキャップの締め付けがうまくいかない.いつもの度合いだと走行していると徐々に遊びが生じはじめる.逆にキツくするとハンドルはほぼ固定.
トラブルシュート→気づき
自分の中で胡散臭かった順にトラブルシューティングを行った.
まず下のベアリング.固着しているリングが本当に外れないのか,外そうとする過程で曲がって収まった可能性はないか検証.
浸透系のスプレーをフレームとそれの隙間にぶっかけてこじってみたり急加熱→急冷を試したり.無駄な時間であった.
次にちょん切ったコラム.ステムとスターファングルナットの位置関係で症状が変わるか見るべくスペーサーとステムの順番を色々試すも関係なさそう.
あれこれやっている途中で遊びが出始めた直後のヘッドパーツを観察,上のベアリングとダストカバーの間に収まるはずの割入りリングが外れていた.ダストカバーが変わって十分押し付けられていないと推測したが,ダストカバーだけ変えても駄目だったのでリング本体を疑った.
そこでリング純正ダストカバーFSAのパターン,これで解決.
つまり,割入りリングの高さは大事.これが変わると上手く動かないという知見を得た.
結論
結局何が言いたいか
ヘッドパーツは純正を頑張って(流通的にもコスト的にも)手配しよう
厳しいよって人はOD1ならFSA C-33 44Eってやつが互換,リングは純正を使いまわそう
フレームとベアリングが固着すると厄介なので定期的なメンテはマスト
あとがき
これまで変速系のパーツは散々弄ってきたが外から見えないヘッドパーツについてはミリしらだった.その状態からある程度は自分でトラブル対処できるくらいの知識は身に付いたと思うので時間をかけた価値はあったのかもしれない.(作業2週間,調査段階まで含めると2ヶ月くらいかかった)
ホイールのベアリングにありがちな社外のちょっといいヤツとかもヘッドでもあるのかな,あるなら体感変わるだろうか…とか,サイズはわかったのでダストカバーだけ好きなデザインにカスタムもできるのか…とか色々思いついてはみた.
が,当分の間もうハンドルは弄りたくないしそんな時間も作れなさそうだし費用対効果最悪なので保留.
とりあえず寒くならないうちに直ったチャリンコで50~100kmくらいのライド行きたい.