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みさきまぐろきっぷ日帰り旅行
京浜急行(京急)といえば、品川から三浦半島や羽田空港に向かって伸びる赤い電車の私鉄として有名ですが、鉄オタ的にはやっぱり快特の爽快感溢れる走りを語りたいですよね。
というわけで2024年11月24日、ふと京急の快特に乗りたくなったので、京急が販売している大人気のきっぷ「みさきまぐろきっぷ」を使って三浦半島の日帰り旅に行ってきましたのでその模様を書いていきます。
みさきまぐろきっぷについて
詳しくは京急の公式案内 ()を読んでもらいたいのですが、ざっくり説明しますと、以下のチケットの組み合わせです。
発駅~三崎口までの往復乗車券(往路・復路ともに、後戻りしない限り途中下車は自由)
三崎口駅と三浦海岸駅の周辺のバス路線のフリー乗車券
三浦市内で使える食事券「まぐろまんぷく券」
お土産やアクティビティと交換できる「三浦・三崎おもひで券」
昔は駅の券売機でしか買えなかったのですが、現在は三浦newcalというMaaS(Mobility as a Service)を使った「デジタルみさきまぐろきっぷ」があり、最繁忙期のC料金を除けば磁気乗車券タイプの「みさきまぐろきっぷ」より割安になっている(C料金は磁気乗車券と同額)ほか、磁気乗車券では設定がない泉岳寺駅始発も買えます。ただしスマートフォンが必須なので、旅先でスマートフォンのバッテリーが切れないように注意してください。私がこのきっぷを使うのは3回目で、デジタル版は初めて使いました。
旅立ち
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というわけで前日に購入しておいたデジタルみさきまぐろきっぷを品川駅の有人改札で提示します。のりかえ改札だとJRからの出場処理ができるか怪しかったので、一回JRの改札を出てから京急の改札へ向かいました。
品川駅では画面を駅員さんに見せて通過します。
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京急の快特には都営浅草線から直通してくる3ドアのロングシート車(1000形、600形、1500形)を使ったものと、泉岳寺始発の2ドア転換クロスシート車(2100形)を使ったものがあるので、もし転換クロスシート車に乗りたいときは泉岳寺始発を選ぶほか、運行番号を見るなどして調べる必要が……
あったんですけど、最近始まったウィング・シートという座席指定制度を使えば確実に転換クロスシート車に乗れます!
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ウィング・シートはKQuickという京急のWebサービスで事前に座席指定券を購入できます。平日朝の上り「モーニング・ウィング」、平日夜の下り「イブニング・ウィング」、休日の「ウィング・シート」の3種類です。
下り列車の場合、泉岳寺から上大岡までは乗車のみ、その先は三崎口まで下車のみです。上り列車の場合はこれが逆転します。
というわけで行きはウィング・シートの座席指定券を使用。乗車口が限定されているのでそこに並び、乗車前にQRコードチケットを駅員さんにスキャンしてもらう必要があります。あらかじめ画面に表示しておくとスムーズです。
京急快特の魅力
というわけで発車。
かつて人気だったシーメンス社製のGTO VVVFインバータによる音階付きの発振音はIGBT VVVFインバータに機器更新されてしまいなくなりましたが、編成出力190 kW×16 = 3,040 kWから放たれる素晴らしい加速と(起動加速度3.5 km/h/s)、安定した120 km/hでの高速走行は、関東の料金不要の電車の中では最高峰に位置するといっても過言ではないでしょう。
(GTO: Gate Turn-Off; IGBT: Insulated Gate Bipolar Transistor )
電車は自動車と違ってギアチェンジができないので、各駅停車のような駅間の短い列車に使用する電車は歯車比を高くして低速からの立ち上がり重視、特急のような駅間の長い列車に使用する電車はその逆をやって高速域での加速を重視するようにチューニングするのですが、京急2100形は歯車比を低めにしてはいるものの編成出力を高めにとって、さらにVVVFインバータの特性を生かして高精度なトルク制御を行うことで高い起動加速度を維持しているそうです。東武のスペーシア(100系)がちょうど京急2100形と歯車比が同じくらいで、編成出力はスペーシアのほうが上なんですけど、スペーシアの起動加速度は2.0 km/h/sなので、これが平成初期のVVVF車の限界なのかもしれません。
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左手に八ツ山橋梁架け替え工事の様子を見つつ、北品川駅を通過してからは一気に加速。京急蒲田、京急川崎、横浜、上大岡、金沢文庫、金沢八景、横須賀中央、と停まっていき、堀ノ内からは久里浜線へ入ります。京急は久里浜線が本線のように思われがちですが、実は浦賀へ向かうほうが本線です。実はもともと浦賀経由で久里浜へ向かう予定だったのですが、地形の問題で堀ノ内分岐に変更された経緯があります。
堀ノ内から先は各駅停車。久里浜線は単線区間も多いので、ここまでの軽快な走りからは一転します。とはいえ、三浦半島の風景を車窓に眺めながらの旅もまた良いものです。
まぐろを食べに
あっという間に三崎口駅に到着。三崎口駅ではQRコードをスキャナに読ませて改札を出ます。駅員さんが他の乗客や電話に対応しているときでも、QRコードをそのスキャナに読ませればよいことになっています。
三崎口駅は駅名通り、三崎への入り口なので、ここから各方面へのバスに乗り継ぎます。
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三崎港バス停で降りて漁港沿いの道を歩いていきます。お目当ての店はこちら。
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こちらのまぐろきっぷメニューは「まぐろと地魚のちらし」。まぐろと季節の地魚、まぐろの内蔵が載ったちらし寿司で、ビールとともに楽しみました。まぐろずくしの海鮮丼とはちょっと違うものが食べたかったのでこちらのチョイスにしました。まぐろの内蔵なんかは産地まで行かないと食べられませんからね。
気ままな一人旅なので待ち時間は気になりませんでしたが、人気店で行列ができているのでその点は注意です。
「うらり」でお土産を
三崎港近くにある「うらり」で産直品を物色。とはいえ干物や切り身を買う気にはなれなかったので、何か酒のつまみになりそうな塩蔵品や乾物はないかと物色していたら…
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まぐろ酒盗と「ツナピコ」(正確にはこれも商品名なので買ったものとは違いますが、一般名称が思い浮かばないので…。まぐろをさいの目切りにして甘辛く煮て乾燥させたものです。)を購入。「ツナピコ」は昔はスーパーの珍味コーナーで簡単に買えた覚えがあるんですが、ここ最近はずいぶんと珍しくなりましたね。
まぐろ酒盗は小田原の会社の製品だし、「ツナピコ」は焼津の会社の製品だけど、こまけぇこたぁ(以下略
海南神社
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帰りのバスまで時間があったので近くにあった海南神社へ。平安時代に創建された歴史ある神社です。藤原家の系統の貴族が興した神社だそうで、海賊の平定を行った話なんかが境内の案内板に書いてありました。
三浦海岸へ
三崎口からは再び電車に乗って一駅三浦海岸へ移動します。
途中下車は後戻りしなければ可能なので三浦海岸での途中下車に追加料金はかかりませんが、三崎口駅には戻れないので注意です。三浦海岸駅へはバスで行くこともできますので、電車の乗車券を使いたくない場合はそのルートもとれます。
マホロバ・マインズ三浦 三浦マホロバ温泉 日帰り入浴
おもひで券の使い道として選んだのは、リゾートホテル「マホロバ・マインズ三浦」の日帰り入浴。フェイスタオルはついてきますが、バスタオルのレンタルには追加料金が必要です。
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泉質はナトリウム塩化物強食塩泉。露天風呂もありますが、日帰り入浴では女性しか立ち入れないので私は無理でした。とはいえ室内風呂でも十分快適ですし、窓からある程度景色を見ることもできます。ここで食事もできるので、まぐろまんぷく券をここで使うのもよさそうです。
マクドナルド三浦海岸店
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風呂から上がってからは三浦海岸まで歩いて行きました。
なんかカフェでもないかなーと思って何軒か見て行ったのですが、なんだかオシャレすぎて逆に落ち着かない雰囲気(個人の感想です)のお店ばかりだったので、ふと目に留まったマクドナルドへw
三浦海岸まで来てマクドナルドかよって思う人もいるかもしれませんが、2階席からは三浦海岸が見渡せるめっちゃ眺めの良いマクドナルドでした。
モバイルオーダーで席から注文できるしコンセントもあるので快適ですが、混雑時は時間制限がかかるようです。私が行ったときは空いてましたが……
帰宅
日が暮れてきたので帰ります。
三浦海岸駅でも三崎口駅と同じくQRコードのスキャンで改札を通ります。
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帰りの時間は特に決めていなかったので、駅に着いたらたまたま来た特急青砥行きで帰ります。京急の特急は長らく朝夕のラッシュ時に設定されている種別というイメージでしたが、2022年からは日中の快特を置き換えて設定されるようになりました。
快特の停車駅に加えて、汐入、追浜、神奈川新町、平和島、青物横丁に停まるので、利用者の多い駅を取り込んでいる印象ですね。京急には準急の設定がないので、特急が他の私鉄の急行みたいなポジションにある印象を受けます。
まとめ
というわけで、まぐろを食べて温泉に浸かってきただけのきままな旅でした。バス路線が充実していて自家用車がなくてもいろいろ見て回れるので、東京から気軽に行ける日帰り旅行先としておすすめです。あと、京急の快特に乗るための口実づくりにもw
また、今回デジタル版を初めて使いましたが、有人改札で長時間待たされるようなこともなく、これまた初めて使ってみたウィング・シートも座席が確実に確保できる安心感があって、どちらもとても良いサービスであると感じました。
今後こういうスマートフォンを使ったデジタル乗車券のサービスが普及していくんだろうなーと、今どきの新しい旅のスタイルを味わった一日でした。