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Peter M. Senge "The Fifth Disciplene" 「学習する組織」

2018年に読み返してFacebookに投稿していたこの本の感想文を、2019年の最後に、再録しておこうと思う。この3ヶ月か、自分の原点を確かめようと、1990年ごろと2000年ごろを振り返るように、note に投稿してきた。この "5th Discipline" は、そんな2019年の 第4 クォーターを締めくくるにちょうどよいように思ったのだ。


この「最強組織の法則」を読んだのは Amazon の購入記録によれば 2005 年 3 月ということだ。ちょうど、なぜか管理職に引き立てられ、仕事に行き詰まり始め、悩みが深くなり始めたころである。センセーショナルな日本語タイトルや、「7つの習慣」のような原書タイトル「5番目の規律」から見て類書かと思い、手に取ったら違っていた。

自分に不足している考え方、もののとらえ方、そして、できていない行動、とてもできそうにないが目指すべき高みを示された、そんな思いで読み切り、読了後、さらにじわじわといろんな局面で思い出すことの多い本だった。私に大きな影響を与えた本の一つである。すでに手元にはない。私は過去を振り返らないから。

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2011年に英治出版から増補改訂版の翻訳が出たということで気になっていたのだけれど、読むのを二つの理由で躊躇していた。

一つめは自分にまだ自信がなかったからである。5つの規律のうち、Personal Mastery, Mental Models, は道半ばとはいえ、心がけている。5番目の規律、Systems Thinkingも、だいぶん勉強した。しかし、Shared Vision, Team Learningについてはまったく自信なく、最初に読んでから10年もたっているのに、まだ出来ていないことを認識させられるだけ、というのは、なかなかつらい。

もう一つの理由は、どうせ読むなら原書で読もうと思っていたが、ボリュームはあるし、なにより難解だろうと予想していたから、である。

しかし、ついに読もうと決心し購入した。話題のティール組織(Reinventing Organization)を読み、以前に読んだ "Teaming", "The Seven-Day Weekend", "Sapience", "Homo Deus", "21 Lessons for the 21st Century" の流れ、から、 The Fifth Disciplineが、気になって仕方がなかったのだ。

この数年で、ようやく、様々な人をうまく動かして仕事を進めて、ささやかながら成果をポツポツあげることができた、と思えるようになったこと。また、NOKIAというグローバルな企業に勤め、Panasonicでの経験とも合わせ視野を少しは広げることができ、まだまだ一人前のプロフェッショナルにはほど遠いけれども、ちょっとだけ自信が持てたこと。これからも自分を変革して世の中を渡っていくため、一つの区切りとしてちょうどよいかと思ったこと。

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1カ月半かかったけれども読了した。平易な英語で読みやすく、さすがにこれまで蓄えた豆知識のおかげもあって分かりやすく、ふんふんと膝を打ちながら読み終えた。

思い入れの深い本であるだけに、感慨ひとしお、すんなり読めたのは成長の証かもしれない。だが、違和感がないというのは、それはそれで、特定のメンタルモデルにはまっているということでもあるだろう。まだまだノービスだと思う。私には出来ていないことばかり、ではあるが、そういうことより、批判的に読めるようになったときが一人前なのかもしれないと強く感じた。

自分の意思で相手を変えることはできない。自分の意思で変われるのは自分である。だから、相手を変えることを考えず、自分を変えることに集中しよう。では、自分が変われば相手が変わるか、というとそれは変わるかもしれないし変わらないかもしれない。あたりまえである。そもそも、「自分の意思で誰かを思い通りに変えることができる」と考えることが傲慢なのだ。

自分を変えることで、相手が変わること、自分が属する組織が変わることを期待してはいけない。自分の心を入れ替えようが自分の行動を変えようが、誰かが変わるかもしれない、変わらないかもしれない。そこは仕方がないのだ。誰かが変わることを期待して自分を変える、というのは、そもそも誰かを変えようとしている、ということなのだ。

しかし、とはいえ、自分ひとりで仕事ができない事実はある。職場で周囲にいる様々なひと、家庭で自分を支えてくれる人たち、たくさんの人がいて初めて、仕事ができるのだ。いい仕事をしようと願えば、周囲の人に自分の思いを伝えて目的を共有して、巻き込み、大きな流れを作ること、すなわち、コンセプトをいかにつくり共有できるか、が大事なのだ。

だから、共によりよい世の中になるように、自分が変わるように努力するだけでなく、「学習する組織」となるように積極的に組織や社会に働きかけていくことが大事なのだろう。

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10年後までに、また改訂本、あるいは続編が出ているだろうか。あるいは、出ていないかもしれない。10年後の自分が、それをどう読むか、今から楽しみだ。少しは成長したか確かめることができるだろう。



さて、2020年は、どんな年になるだろう。どんな年にできるだろう。共にがんばりましょう。

よいお年を。

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