【学び㊶冊目】コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント
【日系企業がプロダクトアウトの精神を捨て、市場主義の企業になっていくための一歩】
かつての物を作りさえすれば売れたプロダクトアウトの時代の精神が、多くの日系企業でまだ抜けきっていません。市場主義、顧客主義になれている会社はまだ多くなく、多くの会社が製品主義のままです。
日本で上手く行っていても、海外マーケットに進出した途端に、上手くいかないケースは非常に多くあります。
質が良い、というだけで高くても売れるだろうという考えで進出し、大失敗という具合で。
国内のマーケットは冷え込む一方で、日本企業にとって海外進出をしないという選択肢は、もはや残されていません。
そうした時に、まず何をしなければいけないのでしょうか?
マーケティングをまずそもそも「すること」から始めなければいけません。
分析の具体的な方法論など、アカデミックなレベルまで書かれている点も、もちろん本書の魅力の一つです。ですが、日系企業で働く一人の社会人として本書を読んだ時に(少なくとも私個人にとって)、一番強く感じとれたメッセージはこれでした。
マーケティングをする!我々(日系企業)はそもそもできてないということを自覚する。
モノの販売業だけでなく、我々のような役務を提供する会社にとっても他人事ではありません。品質の高いサービスを提供しさえすれば、どこにいっても売れると思ったら大間違いです。
~ではプロダクトアウトを卒業し、市場志向および顧客志向の企業を構築するために、経営陣はどのような手段を取ることができるか?~
【上級経営陣に対する顧客志向の必要性の説得】
まずはCEOが自ら顧客志向への断固たる姿勢を規範として示し、同じ行動を取る従業員に報酬を与えます。
報酬と言っても、昇給、賞与としてむくいるのではなく、昇進という形で報いるのです。結果を出している人間に対しては、お金で報いるのが得策です。ですが、長期的に会社に利益をもたらし、文化作りに寄与する人材は、経営陣の考え方を理解できている人間です。そのような人間を昇進させることにより、従業員に、「会社の求める人材」の指標として示すことができ、顧客志向の考え方を持った個人が組織内にどんどん増えていくのです。
【製品中心企業から市場中心企業への再編成の検討】
市場志向の企業となるには、個々の市場ニーズに専心する組織を作り、その組織に各市場セグメントと主要顧客が求める製品の企画と提供を統括させなければなりません。
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【80/20の法則】
なぜ市場中心企業になるために、主要顧客が求める製品にのみフォーカスを当てなければいけないのでしょうか。全ての顧客を満足させることが必要ではないでしょうか全ての顧客を満足させることはできません。実際にほとんどの収益のほとんどにつながるのは、20%の顧客なのです。20%の顧客が何を求めているかを把握できればいいのです。