ダレン祭りのあと

ダレン・ギア ロングインタビュー


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ファイヤープロレスリングワールドオリジナルレスラー61名の競演となった大炎會2019にて、メインイベントタッグマッチ

ヤマネコマスク&ダレンギア vs 桜神&七峰らいが 戦で、桜神のフィニッシャー桜烙を2度受けるもキックアウト。29分34秒、1度はかわされた必殺のFAKE(開脚跳びスプラッシュ)を放ち大会場を舞い、桜神から3カウントを奪ったダレン・ギア。

本日は彼に、今年7月の初登場からこの日までを振り返って貰った。

ダレン祭りのあと

ハッピーニューイヤー。アメリカ以外で年を越すのはいつぶりだろうか、レスラーになってからは記憶にないが。ダイエンカイは心の底から素晴らしいイベントだったと思っている。盛り上げ方も演者も優れていた。皆がこれを成功させようという熱気にも溢れていた。舞台裏も一級スタッフが脇を固めていたと思う。

昨年(2019年)の来日について。

――2019年の夏から数えて3度の来日となりました。

1度目はPXFだったな。世界を教えてやるつもりが、自分が世界の広さに気づかされる結果になったアレだ。パートナーの堀根には沢山のイマジネーションを貰ったよ。今回(大炎會2019)のショウで見せた打撃のコンビネーションは「Outside Knives」と呼んでくれ。あの日の我々のチーム名と同じだ。

暑さと湿気はたまらなかった。今後は夏の訪日は避けさせてもらうかな(笑)。

――2度目はガンジュのタッグリーグですね。

ハッハッハ、まさか日頃視聴率競走をしているWAWと東の海の端っこで直接相まみえるとはな。あの大会は参加チームの各選手がレフェリーの判定に文句を言っていたようだが、相棒(ディ・アーヴォ)のあのギブアップ判定もその類だ。奴には闘争を諦めるという思考がそもそもないからな。この結果(獲得ポイントは同点トップも、直接の星の差で決勝進出を逃す)には我が団体(XXF)のオーナーのギースや同僚にこっぴどく非難されたよ。今持っているXXFタッグタイトルを返上しろとかもね。機会があれば再び同じリングに立つ日も来ようさ。あと、マカイ、とか言ったか。奴らには子供じみたギミックの種明かしをさせて裸踊りでも踊らせてやりたいね(ニヤリ)。

とはいえ日本での闘いは毎日がハードだった。XXFがしているのはスポーツエンターテインメントだ。日本のレスリングとは闘争の質がかなり違う。こちらにアジャストするのに多少戸惑いはあったかもしれない。今回のショウで披露した通り、もう慣れたがね。

桜神について

――今回相まみえた桜神選手はその全ての大会で闘いました。

---PXFでは予選の桜神&ダニエル・コステロ vs ダレン・ギア&フラッシュ堀根戦で30分引き分け、トーナメント代表進出決定戦同カードでは、26分12秒、FAKEでコステロを沈めた---
---ガンジュタッグ予選、桜神&マックス∞グレイト vs ダレン・ギア&ディ・アーヴォ戦では、27分31秒、ディ・アーヴォがグレイトをアナコンダバイスで沈めた---

私は彼に特別な印象はないのだが、どのイベントでも顔を合わせるものだから、ああこの男はさぞ日本で人気者なのだな、という理解はしたよ流石に。

4回目となる今回は彼の目に今以上の血柱が走っていただろうと、仮面の向こうに感じていたよ。コチラはこれまでと同じようにショウを見せるだけだったが。
日本では体が大きい方だと思うが、あの程度はアメリカではゴロゴロいるからね、扱い易い大きさだよ。ただ、今回はやたら頭部への攻撃を加えられたな。

脳震盪になってしまうと困るのだ。XXFでは1度でも脳震盪を経験すると、選手としての引退を迫られる場合もあるからな。
フィニッシャーを2度受けてしまったのは計算外だったと言える。ミステイクを犯したとは思ったが、まぁ結果は見ての通りだ。ヤマネコは堀根とも違う組み易さがあった。お互いにお互いの国の言葉はつたないが、限られたワードで十分意思疎通はできたよ。彼もプロフェッショナルだったな。

――桜神選手は雪辱に燃えているようですが。

彼のスタイルに気になるところがある。この夜の試合の翌日、別のイベントで試合があったらしいじゃないか。ガンジュの時も、別の大会でも同時並行で試合をしていたという。自分の作り方は人それぞれだが、体は消耗品だ。ひとつに集中せずに挑まれて負けるほど、私のコンディションの作り方は中途半端ではないよ。散る前に枯れるのではないかと、老婆心ながらアドバイスを送らせてもらおうかな。

求められて期待に応えるのはエンターテイナーとして必要な素養だが、求められ過ぎて飽きられるのもまた、エンターテイナーの宿命だ。自分の価値は自分で高めなければならない。ひとつのショウの完成度を上げるには、限られたものに集中して準備する。それが私のスタイルだ。

例えば私が年に何度も同じスタイルで入場してしまったら1回のインパクトは減るだろうし、かと言って頻繁に新しいアイデアが出るほど簡単なものではない。多売はひとつの商品の薄利につながる。プレミアムタイムをファンに提供したいんだよ。

ただ、彼が今の日本の代表なのは間違いないのであろう。次、どうやって私を振り向かせるか、楽しみにしているよ。

そのほか

――七峰選手については。

気持ちの逸りは見えたが、こんな舞台の経験はそうない中、やれることはやったのではないかな。私やヤマネコを脅かすにはまだ足りなかったようだが。そういえば彼は氷川光秀に憧れていたそうじゃないか。彼は伝説のウォーリアーだ。私がプロレスリングにふれた時期は年齢的にはけして早くはないが、ふれてからは各国の優れたレスリングのビデオをいやというほど見てきたし、氷川もその1人だ。受けを重視するプロレスだよな。今回のリングで最も受けを見せたのは誰だったか、彼の目指すレスリングのヒントになるのではないかな。

――ほかに気になったレスラーは。

素晴らしいショウだったが、何人もいる(many many!)。私はユニットなどで群れるタイプのレスラーではないが、ひとつの色合いに染めたユニットを組んでもいいかなという気になった。

オオイ、ホールドマン、レスター、ミズノ、アサヌマ、ヤマプロ、この辺りを集めてコスチュームを統一してどこかに殴り込む……。想像だけで熱くなれるな。

Camiloのことは別の意味で気になる。物語は続くだろう。楽しみだな。

――ダニエル・コステロから挑発を受けました。

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ハッハッハ、あの凸凹コンビは私のことが大好きなのだな。化けの皮ねえ。プロフェッショナルレスリングを心得る者であればそれぞれ身に覚えがあるんじゃないかな、その皮とやらに。もちろん私はいくつもの皮をかぶり、偽りをもって相手を幻惑している。こちらはかつて勝っているからな。また赴いて欲しいのであれば相応のメリットを用意できるのであろう?

あと、古い話だが、夏のリーグでこのコステロが「自分もかつてXXFに在籍していたことがあり、オーナーのギース・マクドナルドに大きな屈辱を受けていたその憂さを今晴らしたい」というようなことを口にしていたな。覚えているかと尋ねろと。
私はひとつ知りたいと思ったら入念に調べるタイプだが、コステロがXXFでどんな試合をしたかの情報は結局見つからなかった。せいぜい育成下部団体で挫折したとかなのだろう。そしてそんなグリーンボーイとたまたまエレベーターを共にしたギースから、ひと目の印象でひどいギミックでもやるように助言があったとかそういう話なのではないか。
こんな細かい話はギースには腐るほどあるからな。彼がそれを覚えている可能性はゼロと言っておくよ。

だが、彼も今では日本でメインイベンターだそうじゃないか。この間の試合も鮮やかだった。時間は人に平等だが、彼なりにその時間を大事にしたのだと思う。まぁ私を再び向こうにするには、まだまだ足りないと言っておくが。

―――今後の予定は。

XXFのショウは忙しいが、日本に来る機会もまたあるだろう。今回のイベントはアメリカでリアルタイム放送やライブビューイングも行われて大変反響があったと聞く。会場内も国際色豊かなファンが訪れたとか。海外の別団体のリングへ上がる日も来るだろう。放送の視聴者数も昨年を上回ったらしい。XXF日本公演の準備もあるかもしれぬよ。

さて、ギンザの約束がある。その直後に帰国だ。また会おう侍の国の友。

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