vol.118「リーダーの心得シリーズ:『「育成の期限」を宣言する。』」
前に、「異国の地で野営をしながら戦いつづける混成部隊の指揮官」とでもいうべき仕事をしたことがあります。いままでの会社人生の中でもトップに入る面白い経験でした。
長期戦にそなえた「モチベーションの維持」で試したひとつが、
「目の前の作戦遂行と直接関係のない、今日やらなくてもいいお題を、全員参加型でやってみる」
です。
いわば「無い仕事」を勝手に創った。「指示されてもいないけど、禁じられてもいない領域で、何をやるか」の一環です。
◆「今日やらなくてもいいお題」
メンバー全員へ声かけ。
「このチームで勝手に『仕事の心得集』をつくります。各自の経験から、『これは後輩世代に伝えたい』学びを、短い文章で書いてどしどしお寄せください。なお、本件は自由参加です。協力したい人、これぞというネタのある人、好きにご参戦ください」
そうやって出来た『リーダーの心得』集。
たとえばこんな感じです。
◆補足解説。
締切をはっきりと宣告する。独り立ちしてもらう、と明言する。イメージを持ってもらう。
ぼんやりしていたものが形をとること。
「あ、どうやら本気なのだな」と理解すること。
たったこのぐらいのことで、人が育つ、ということは普通にあります。
新人の育成に限らず、仕事の成否の半分は
「期限をどう設定するか」
で決まる。
最終的な完了をいつにするか。
中間報告をいつにするか。
次回の確認をいつにするか。
仕事に使われる資源のうち、時間だけが、
・後から取り戻せない不可逆過程で、
・解釈の入りこまない、万人に共通の尺度
だからだろうと考えています。
頭ではわかっているのだけど、一環してブレずに実行するのがなかなか難しい。(※私は安定して着実に繰り返すのが苦手なほうです)
全員参加型でやる。「自分たちのものだ」という所有感を醸成する。ゲーム感覚で仕事する。
難しい仕事か、または長期化して出口のなかなか見えない仕事をするとき、有効なアプローチだと思っています。
このテーマ(育成の期限を宣言する)を出してくれたAさんは、その後 マネージャーになって活躍しています。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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