見出し画像

vol.148「何かに取り組むときはまず『要素に分解』する。『成功』に関する残酷な法則。」

以前住んでいた東京で、一時期 釣りをやり込んだことがあります。
「シーバス(スズキ)ルアー釣り、電車or 徒歩/自転車で気軽に行ける場所限定」で研究と実験を繰り返していました。
設定した目標は、コストをかけず・必死でやらず・成果を出す。正確にいうと、「釣れた魚の数を、投じた費用で割るとトップレベルを目指す」。たぶん東京港湾エリアの陸(おか)釣りの一般人で、いちばん釣ってたと思います。
他のルアーマンに「いくらぐらいお金をかけて、何匹釣れてますか」とインタビューしたわけではないから、想定です。ちなみに釣り場でこういうことを聞くとケンカになります。皆さん釣れてないからです。

◆成果を出すための「要素分解」。

成果を出すために最初にやることが「要素に分解する」ことです。

・知識を仕入れる。信用のおけそうな(派手なパフォーマンスでない・チャラチャラしてない)釣りのプロフェッショナルの本を2,3冊読んで、基礎知識を仕入れる。
・基本的な要素に分解する。釣りを構成する要素を理解して、分ける。要素ごとに、何がカギになるか考えて、必要な予算を投じる。

分解した結果、要素は3つです。

(1) 釣り方

スズキという魚は肉食魚、陸上でいえば猛獣です。けれども、 無防備に川じゅうを動き回ってるわけではなく、たとえば隅田川なら、両岸の壁の下方部に隠れています。
魚から見ると、身体の片側が壁だから安全で、上を見ながら通りかかる餌だけを注視していればいい。餌が来たら飛びついて襲って、また戻る。ライオンや虎と同じです。身を隠せるところでじっとしてます。

やったのは、その壁の足元だけを釣る。釣れなかったらすぐ移動する。
釣り始めて5分で釣れることもあるし、2時間くらいやって釣れないこともある。釣れない日は適当に切り上げます。調子がよければ1回に何匹か釣れることもある。
ライバルのほぼいない太陽の出ている明るい時間帯に出かけて釣れていました。

隅田川や荒川で見かけるほとんどの釣人が、夜、カッコよく勇ましく、川の真ん中に向けて「ビシュッッツ!」と投げています。釣りのプロの動画やテレビ番組の影響です。もしくは「障害物のあるところを釣れ」の法則で、橋の下で何時間も投げては引きをやっている。
ルアーという匂いや味のしない、ニセの餌だから、魚は遠くからやってきたりしない。そこにいなければ、何百回投げても釣れません。

この釣り方を前提とすると、遠くに投げる・正確に投げる技術が要らなくなります。より遠くへ飛ばすための竿やリール、ルアーの、最新技術を詰め込んだ製品が出たら買い替える、というコストがゼロになります。

(2) 道具。

遠くに飛ばす競争から解放され、最新の高価なものに投資する必要がなくなりました。
ここからさらに「どの道具がいちばん重要か」を考えます。ポイントは、「魚が食いつく瞬間まで」と「食いついた後」で分けることです。

魚が食いついて、釣り針(フック)に触れる瞬間まで、関係があるのはルアーと針だけです。水面より上にある竿やリールは関係ありません。使いにくくなければ、安物でいいとわかります。

ルア―は、プラスチックや金属でできているので、本物の餌と違って、新鮮かどうか=新品かどうかで、その性能はほぼ全く変わらない。中古ショップで買えば十分です。

食いついた瞬間にしっかり刺さるか。いちばん大事なのはフックです。先端がとがってるかなまってるかで、逃げられるか、釣り上げられるかどうかがほぼ決まります。
フックだけはは色々試して性能のいいものを使っていました。

「フックだけ新品を買う、贅沢する」がポイントで、フックは高くても1個10円か50円かぐらいのものです。「5倍高い」けど その差は40円です。竿やリールで「5倍高いものを買う」と結構なコストです。また船に乗って遠征したら大きな出費です。

(3) 記録と集計。

魚の釣れる釣れないは、潮の流れの活発さに大きく左右されます。川であっても、河口から満潮が押し上げてくればその影響ができます。
「記録を取る」は、今のところ有利になりこそすれ、不利になったことはないと思います。

記録のために釣り場でメモを取ったりタブレットに書きこむのは苦行です。
もともと釣れたら逃がす前に写真を撮っているので、それを利用します。帰宅したあとで、タイムスタンプを確認して、「釣れた日時」をパソコンに打ち込みます。

一日のうちヒットが多い時間帯はいつか。毎年何月は釣れているかいないか。満潮/干潮はどう影響があるか。
これらのデータが溜まると、「今月の週末で釣れやすいのはいつだろう」「今日は行ってもたぶん釣れないな」といったことがわかります。
空振りする確率をなるべく減らせると、「投じるコスト」のうち「時間」を最小化することもできます。

◆本業=結果が出る、ではない。

私の本業は全然釣りと関係なく、釣りは「いつ辞めてもいい趣味」です。電車代+安価な道具で、長時間粘ったりしない。
釣れた魚の数を、投じたコスト(お金・時間)で割り算して正規化すると、もしかすると雑誌に登場する著名トッププロと比べても遜色なかったかも、と想像しています。「部門別 東京都大会優勝」の可能性があるということです。

重要なのは、「真剣にやってる」ことと、「上位の成績が取れるかどうか」は関係がないということ。
本業として取り組んでいる領域は、他の多くのライバルも本気でやっている。「本気でやってる」ことは打ち消され、順位を挙げることは難しくなります。

「いつ辞めてもいい趣味」で好成績が出ることがある。「本業を一生懸命頑張って」も惨敗することもある。
本業=結果が出るとは限らない、という残酷な法則がそこにある。


釣りに興味のない方にはなんのことかわからず、全く面白くなかったと思います。
何かに取り組むとき、「要素別に分解して、いちばん重要なことは何かと考える」のはすごく有効ですよ、というお話でした。

最後までお読みくださりありがとうございます。


◇お仕事のお手伝いメニューを試行提供中。※テスト段階のため無料です。
・形態:Zoom等を用いての遠隔ミーティングを主に想定。
・対象:個人事業主の方で心理的安全性の確保された壁打ち相手が欲しい方等。

「ご案内:個人事業で提供するメニューと、提供できる価値(2024.1版)」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?