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vol.005「ゲームのルールを理解すること。」
「いま自分が参加しているゲームのルールを理解すること」ほかについて、整理しました。
◆ルールを理解してから行動する
「サラリーマンは、お金を一切投資していません。その代わりに自分の時間を会社に投資して、お金で返してもらおうとしている。だから投資効率が悪いのです」
「社会にあるルールは、誰かが作ったものです。もしも、そのルールで居心地が悪ければ、周囲を納得させて変えていくものだと、ぼくは考えています」
自分が今やっているゲームのルールを把握すること。すなわち、
・参加している場の、賭け金のレートを、はやく知ること。
・ほかのプレイヤーがどう動くかを推察して、当てること。
・可能なら、自分に有利なようにルールを変えてもらうこと。
生きていくのに、大きなウェイトを占める要素だ。
かなりの時間(アタマ・労力)を投入してよい部分だとも思っている。
なのについ、先送りにする。
後回しにする。
考えるのが面倒になって、途中で投げだす。
人間、というのか凡人の思考が、まったくもって合理的でない。
経済最適でないことを意味している。
サラリーマンは、お金を投資するかわりに、時間を提供してお金をもらっている。だから経営者、出資者にくらべて投資効率が悪い。
言われてみれば当然のことだ。
投資してないのだから、「投資効率」は悪いに決まっている。
元本保証型の金融商品の利回りが低いのに似ている。
これって、いわゆる
「世の中には、お金で時間を買う人と、時間でお金を買う人の二種類がいる問題」
だともいえる。
参加しているゲームのルールを把握することは、「勝ちの条件」を探ること。最低限、負けの定義、罰則を知ること。
なにか想定外のこと、動揺させられることに遭遇したとき。
感情にまかせて反応するのでなく、一晩おいて判断するのに、ちょっと似ている。
その場で態度を決めてしまうことがある。
即断せずできず、態度を保留して、ひとまず前へ進むこともある。
のちに振り返って正解だったかどうかは、信念や決断よりも、単にそこからの行動で決まることが多い。
+ + +
たとえば魚釣りで結果を出すコツは、
要素① 確率が上がる正しい手法を実践する
要素② ほかの人のやっていないことをやる
に要約される。
①は、魚のいる場所に仕掛けを投げる、警戒心の下がったときに釣る、といったこと。
②は、ほかの釣り人より先に行動する、人が使わない疑似餌を用いる、といったこと。
◆「ゲーム」には2種類ある
この観点で、世の中の「ゲーム」を2種類に分けることができる。
ここでいう「ゲーム」とは、「遊び」というニュアンスではなく、
『二人以上の参加者がいて、全員に同一のルールが適用されて、何らかの結果が出るもの』
とします。
◆要素①で構成されるゲームの例。
ボーリングのストライク。
ロールプレイングゲーム。
センター入試の点数。
ゴルフのスコア。
マラソンのタイム。
水泳の距離。
これらはすべて、自分一人の出力で、スコア(勝敗)が決まります。
※現実には周囲からの期待、善意や悪意や、競争相手の挙動に影響を受けるけど、ここでは単純化。
◆要素①+②で構成されるゲームの例。
サッカーのPK戦。
格闘ゲーム。
選挙の当落。
営業成績。
恋愛や結婚。
魚釣り。
これらはすべて、自分の出力+相手の行動 に依存して、スコア(勝敗)が決まります。
前者は、ほかのプレイヤーの成績が自分の成績に影響しないゲーム。
後者は、ほかのプレイヤーの成績が自分の成績に影響するゲーム。
「点数の総和の上限がないくゲーム」か、
「限られた点数を取り合うゲーム」か。
「自己ベストを目指すゲーム」か、
「相手のスコアを1点上回るゲーム」か。
という見方もできる。
「いま参加しているゲームは、どちらのタイプか」
といった視点はもっておくと、身を助ける。
または、傷つく回数を減らすのに役立ちます。
◆どこに注力したら得点できるのか考える
魚釣りから派生して:
動物が関わる"遊び"、ゲームは、大きく2つ。
「レース」と「ハンティング」です。
レース、ハンティングはそれぞれ、
①人間が直接、手を出せるもの
②人間が直接、手を出せないもの
に分けられる。
前者は、「結果を変えられる」とは限らないけど、影響を与えられるもの。(※結果を確実に変えられたら「ゲーム」とは呼ばない)
後者は、始まったら、なんらかの結果が出るまでは、人間の手を離れるもの、
という違いがある。
レースなら、
①競馬や犬ぞり。乗り手が、多少なりと結果に影響を与える。
②ドッグレースや鳩のレース。レース中は、調教師も待つだけ。
のように分類できる。
ハンティングなら、
①銃や銛を用いる猟(漁)。射手が狙いをつけて、引き金を引く。
②罠や釣り=待つ。鷹狩りや、猟犬による狐狩り=手を離れる。
のように分類できる。
①の銃は、当たる当たらない、じょうずへたは別にして、人間が能動性を発揮する余地がある。
対して②の釣りは、魚が食いつく瞬間までは、人間が能動性を発揮する余地がない。
魚の口を開けさせて、ルアー・鈎を強制的に入れることはできない。
従って「いかに食いつかせるか」、つまり
『確率を高める研究』
がほぼすべてとなる。
対して、銃は、「どうやって命中させるか」、つまり
『的中精度を高める練習』
が主眼になるはずだ。
整理すると、
(1) 自分が直接、手を出して、結果を出そうとするもの → 練習。
=技術、意欲、集中力と鍛錬etc.の問題
(2) 自分では直接、手を出せずに、他者に依存するもの → 研究。
=仮説と検証、確率、再現性etc.の問題
だと考えられる。
つまり、自力だけで完結できない全てのプロセス(=仕事はその代表例)は、個人技や精神力の問題ではなく、確率や再現性の問題だということになります。