忘備録3  脱・気持ちの切り替え

まず始めに、国体中止決定に対して非難をする意思はない事をお知りおき下さい。

 

三重県で開催予定の国体が中止になりました。この大会に向けて頑張ってきたアスリートや支えるコーチやスタッフにとって大変に辛い決定だと思います。競泳に限っていいえば、『東京オリンピック・パラリンピック開催』『全中開催』『インターハイ開催』『ジュニアオリンピック開催』と続き最後に『三重国体中止』となっていて「なぜ国体だけ・・・」という思いが募ることでしょう。

 中止決定当時、三重県内のみならず全国的に新型コロナウイルスの感染拡大が認められ、国の緊急事態宣言や自治体独自の緊急事態宣言などが出て厳しい状況でした。しかし開催されたビッグイベントはその状況下でも開催されており、国体だけ中止になったものですから、国体を目標にしていた関係者にとっては納得のいかなかったでしょう。そういう声もあちらこちらから聞こえてきました。そして状況を鑑み「仕方ないね」納めたというのが殆どの方の理解の推移だと思います。

 こういう時、大人の皆さんはどう言った言葉をアスリートにかけてあげるのでしょうか?恐らく、「決定は残念だけど気持ちを切り替えて頑張っていこう」となると思います。私はそうでした。しかしながら、1週間経っても2週間経ってもなかなか笑顔の戻らない選手に対して嫌な予感がした私は、友人の心療内科医に相談をしました。「うちの選手がどうかおかしい」って。すると友人からは次の事を言われました。

1.「気持ちを切り替える」っていうのはアスリートにとってこれまでの努力をを否定することになる。

2.活躍した機会を失った=奪われた。

3.この時の基本感情は『怒り』であるという事。

4.時間が経ってもなかな復調しない人物に限って普段から「大丈夫です」って発言し、周囲を安心させようとする。

という内容でした。私は驚きました。特に「気持ちを切り替えて〜」というのは、私たちがよく使う言葉です。友人によるとその言葉は『大人の理論・一般論』といいます。コロナで逼迫しているし開催に関して反対も多いし県民の健康を優先して中止するというこの流れは大人は理解納得出来ますが、アスリートや子どもには理解できても納得は出来ないそうです。

 友人からはアドバイスをもらいました。それはとても時間のかかることですし、苦しいことではあります。「このストレスから早く解放してあげようとすることすらこの選手にとっては苦しめることになると知っていて欲しい」と言われました。

1.今までの努力を承認してあげる。

2.「気持ちを切り替える」ではなく「分けて解決していく」

3.大人が声をかけるにおいて、その言葉が『大人の理論・一般論」であるかないかを吟味する。

4.言いたいことを言える様になるまで向き合う。

5.焦らず、ゆっくりと。

 私はこれに「まず謝る」を最初に行って、この選手と向き合っていきます。なぜ謝るのか?私も「気持ちを切り替えて〜」とこの選手に発したからです。そして私は#友人のアドバイス通りにまずはやってみます。

 コーチとして、上司として、大人として、親として。指導をする上で色々とお考えはあるでしょうが、一度「気持ちを切り替えて頑張ろう」というメッセージ、使う事をやめてみませんか?




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