第5回「立川談洲 独演会」(20年10月25日)
■演目
一、 締め込み(談洲)
一、 蜜の味 (談洲)
一、 むかつく(談洲)
~仲入り~
一、 おせつ徳三郎(談洲)
■所感
祝、御結婚!Youtubeライブで奥様が「独演会に行くことがある」という発言からか、場内を度々キョロキョロする方がいる中、席の前方に熱心な御常連方、後方にいかにも“芸人”な方々が座る通常運転。話題の方の話を聞こうとする観客が押し掛けることも無く、良い意味で冷静な客席空気感が何だか信頼出来る。
演者が高座に上がり、話題処理、所信表明……からの自意識の禊を行う第一弾「締め込み」。
談洲さんの「締め込み」を知っていると、泥棒さんが中に声を掛けた段階でニヤニヤが止まらない。演者の背景が噺の面白さをより引き出す、時限的な上乗せ効果。噺の工夫自体も面白く、その工夫のノイズにならないよう夫婦の掛け合いが徐々にスピードを増して加速度的に面白くなる様子も楽しい楽しい。
で、第三者が投げかける、アノ台詞。映像として見えないが故のマジックで、頭の中で見えていた映像がグルッと書き換えられる快感に浸る。
まずは一勝。
続いては新作「蜜の味」「むかつく」。
お高く留まった嫌な奴の調子に乗った姿、見下した姿、ムキになる姿、そして崩れた姿が本当に巧い。
またピックアップする議題の(良い意味での)下らなさ。その下らない議題の細い深い掘り方が聞いていてハッとさせられ、グッとくる。
今回の「むかつく」のバーテンダーが魅せる、サイレント『Uhhhhhh』のむかつく顔が最高だった。
仲入り後は「おせつ徳三郎」。
高速・高速と続いた前半戦から、後半戦はグッとトーンを抑えて一つ一つ丁寧に。
噺の前半は、大店の密室で繰り広げられる旦那と番頭、そして丁稚のワチャワチャ。単なる状況説明にはならず、各登場人物の個性や先入観を裏切る展開に噺の世界に惹き込まれる。
後半は事が動いてしまった後の徳三郎の思い詰めたが故の行動が或る場所に足を向けて……という流れだが、こちらも変に重たくならず、説教臭くも無く、ノイズ少な目で人情噺を堪能した。
次回は11月22日(日)
以上