大人になると傷つけられたことより、傷付けた方が心に残っている。
大なり小なり、人を傷つけた経験が誰にでもあると思います。
大人になるにつれて、誰かに傷つけられた記憶より、誰かを傷つけてしまった記憶の方が苦い思い出として心の奥深くに残っていることに気づきます。
「間違った」と自分で認識した時、(もう過ぎたことだから)と逃げようとする自分がいて、(しょうがなかったんだ)と開き直る自分がいるんです。
そのくせ、心の中では
“許して欲しい”と思っていたりして…。
話は変わりますが、先日、免許更新で教習所へ行きました。
私はゴールド免許では無かったので、 1時間の講習があり、その時、さだまさしの『償い』という曲がながされたのです。
不覚にも曲を聴きながら、ボロ泣きしてしまいました。
部屋はシーンとしているので、すすり泣く声を押し殺すのに精一杯(汗)
帰ってから、何でこんなに心が揺れたんだろうと歌詞を読み返しました。
“彼は許されたと思っていいのですか
来月も郵便局へ通うはずの
やさしい人を許してくれて
ありがとう”
というフレーズで再び泣いてしまいます。
これは、交通事故で「加害者」になってしまった友人の、償い続ける姿を見つめる曲。
優しくて、真面目で、頑張り屋の「ゆうちゃん」は、人の命を奪ってしまった「加害者」でもあります。
「ゆうちゃん」は事故のあった日から、欠かすことなく毎月給料の全てを被害者の奥さんに送り続けます。一生許されるはずのない罪に向き合いながら。
それから7年後、ゆうちゃんが泣きながら一通の手紙を握りしめて「私」のところへ来ます。
その手紙は被害者の奥さんからで、許しの言葉が書いてあったのです。
(このサビの部分はぜひ曲で聴いて頂きたい)
加害者は遠い街に住むすごく真面目な男性だったらしく、毎月賠償金を郵送してくる。何年も経ったある日、奥さんはその加害者に手紙を書きます。「もう、お金は送ってこなくていいです」と。でも、翌月も、その翌月も相手は送金を欠かさなかったという実話です。
この曲で号泣してしまった私は
誰かに「許されたい」んでしょうか。
「許したい」んでしょうか。
人生を通して向き合うテーマなんだと思います。
あ、あと安全運転します。
償い
作詩・作曲:さだまさし
月末になると ゆうちゃんは薄い給料袋の
封も切らずに 必ず横町の角にある郵便局へ
とび込んでゆくのだった
仲間はそんな彼をみてみんな
貯金が趣味のしみったれた奴だと
飲んだ勢いで嘲笑っても
ゆうちゃんはニコニコ笑うばかり
僕だけが知っているのだ
彼はここへ来る前にたった一度だけ
たった一度だけ
哀しい誤ちを犯してしまったのだ
配達帰りの雨の夜
横断歩道の人影に
ブレーキが間にあわなかった
彼はその日とても疲れてた
「人殺し あんたを許さない」と
彼をののしった
被害者の奥さんの涙の足元で
彼はひたすら大声で泣きながら
ただ頭を床にこすりつけるだけだった
それから彼は人が変わった
何もかも
忘れて 働いて 働いて
償いきれるはずもないが
せめてもと
毎月あの人に仕送りをしている
今日ゆうちゃんが僕の部屋へ
泣きながら走り込んで来た
しゃくりあげながら
彼は一通の手紙を抱きしめていた
それは事件から数えて
ようやく七年目に初めて
あの奥さんから初めて彼宛に届いた便り
「ありがとう
あなたの優しい気持ちは
とてもよくわかりました
だから どうぞ送金はやめて下さい
あなたの文字を見る度に
主人を思い出して辛いのです
あなたの気持ちはわかるけど
それよりどうかもう
あなたご自身の人生を
もとに戻してあげて欲しい」
手紙の中身はどうでもよかった
それよりも
償いきれるはずもない あの人から
返事が来たのが ありがたくて
ありがたくて ありがたくて
ありがたくて ありがたくて
神様って 思わず僕は叫んでいた
彼は許されたと思っていいのですか
来月も郵便局へ通うはずの
やさしい人を許してくれて
ありがとう
人間って哀しいね だってみんなやさしい
それが傷つけあって かばいあって
何だかもらい泣きの涙が とまらなくて
とまらなくて とまらなくて
とまらなくて……