Case2:ロンドンオリンピック(2012年)で日本のメダル数を増やすにはどうすればよいか?
パッと思いつくところで言うと、「五輪出場が見込まれる選手の育成に注力する」などでしょうか。ただこれは思いつきにすぎません。コンサルっぽくロジカルに考えていきたいと思います。
「自分の解答(10分)」
前提として、依頼された立場としては、IOC幹部と仮定。その上で結論として、以下の三点を挙げる。
・日本選手が優位な競技(特に個人戦の競技)を増やす
・日本選手が優位な競技の階級を細分化する
・五輪出場が見込まれる選手の強化合宿の頻度を増やす
過程としては、まず日本のメダル数を以下で表されるものとした。
(メダル数)=(全体の競技数)×(日本人の出場率)
×(日本人の平均出場者数)×(日本人の入賞確率)
右辺の前半二つの項まで着目すると、日本人の出場できる確率の高い競技を増やせば、メダル数が増えることになるので、日本が世界と比較して優位な競技(例えば、野球・ソフトボール、相撲など)を追加するよう働きかける方向性を考え付く。
前半三つ目の項まで着目すると、日本人に優位な競技において五輪出場者数を増やせばよいことになるので、惜しくも階級の都合上選考漏れしてしまう選手を出場させるべく、柔道やレスリングの階級の更なる細分化や水泳の競技項目を追加する方向性を考え付く。
最後の四つ目の項について、代表選手の入賞確率を高めるべく、出場が見込まれる選手が競技をまたいで刺激しあえるよう合同合宿の頻度を増やす方向性を考え付いた。
いかがでしょうか。笑
個人的にまあまあ良い路線を提案できたようにも感じますが、一方でメダル数の式に関しては粗さを実感しております。入賞確率を高める施策についても議論が必要な気もします。
では、参考書の模範解答に移ります。
「模範解答」
メダル数の式については(メダル数)=(参加種目)×(入賞率)と、自身が提示したものとさほど変わりませんでした。ただ、参考書によると、このケース課題の最大の焦点は、右辺の二つの項を同時にアップできるように、競技を分類することでした。具体的に見ていきます。
日本人の選手層、世界の選手層の二軸を設けて、正の方向に選手層が厚く、負の方向に薄くなるような2×2のマトリクス(4つの象限)を考えます。
第1象限から順に、①実力拮抗②お家芸③マイナー・新興競技④参加に意義と名付けます。
①については、可能性はあるがメダルはとりにくい競技といえるので、審判の買収(!?)や汚いのであれば自国が優位になるように競技ルールを改正するよう働きかける手を提案しています。
②については、最もメダルの取れる可能性が高いといえるので、私の発想と同様に柔道などの階級を増やす案や、団体戦の追加、空手の追加や野球・ソフトの復活を提案しています。
③については、早くから選手の育成に力を入れられれば優位性を確保できる確率が高いため、競技者の育成に投資する案を提案しています。
④については、参加に意義があるとしていて、今さら選手の育成などは考えず、神頼みを提案しています。
10分という短い間(自分で勝手に決めてます)でこのように洗練された解答を作るのは個人的に困難に感じていますが、このように分類することで、どこに集中的に投資するかが見えやすくなると分かったので、今後試していきたいなと感じています^^
参考文献
・大石哲之(2009)『過去問で鍛える地頭力』,東洋経済新報社