僕たちのなくしたもの#2お試し品
僕は時計屋に向かった。
早足で歩いたのかとても早く着いた。
そして時計屋のおじさんに
「すいません電池取り替えてもらえますか?」と尋ねた。
時計屋のおじさんは、「任してくれ」と自慢げに言った。
時計屋のおじさんに時計を渡してから30分経っただろうか?
時計屋のおじさんが戻ってきた。
「僕悪いねーこの時計壊れちまってる、どこかにぶつけたのかわからないけどすごい衝撃で壊れちゃったみたいだね。」
衝撃?そんな衝撃与えた覚えないぞ?
「とにかく僕、この時計直すより買った方が安く済むぞ、どうする新しいの買ってくか?」
時計に衝撃を与えた覚えもないなのに急に壊れたと言っても納得がいかない。
「おじさん今お金ないんで」
「そうかい残念だねー」
正直お金がないわけではなかった。
どうしても自分の中で納得いかない何かがあったのだ。
僕が店を立ち去ろうとした瞬間、
「そうだ僕、この先の大通りで時計のサンプル品みたいなの配ってたよ、無料だからもらってきたら?」
無料かぁ 一応見に行くだけ見に行ってみるか?
おじさんの腕をよく見ると珍しいデザインの腕時計をはめていた、多分おじさんの言っているサンプル品はこれだろ。
でも腕時計しては少し大きいような気がする。
「僕、早く行ってきたらどうだ?なくなっちゃうぞ。」
僕はおじさんにそう言われて急いで大大通りに向かった。
するとまだ確かに腕時計のようなものを配っていた。
「サンプルの試作品腕時計はいかがですか?無料ですよー」
配っている人はなぜかオリジナルキャラクターのようなキャラクターの仮面をかぶっていた。
腕時計はどんどん配られて行く。
あんなデザインでも無料だと通りかかる人の2分の1以上は腕時計をもらっている。自分も早くもらわなくては、
「すいません。1つもらってもいいですか」
「どうぞどうぞ」
僕は腕時計をもらった。
腕時計は本当に珍しいデザインだった。
腕時計とは思えないほどの大きさ。
それに腕時計の数字板には絶望と真ん中に書いてあった。
どういうことだ?
そういえばおじさんの腕時計の数字板にも違う文字が書いてあったような気がする。でも覚えてはいない。
とにかく今日はもう時計ももらったことだし帰ろうかな。
そして僕はサンプル品の腕時計を腕にはめて家にゆっくり帰るのであった。
#3に続く
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