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教員やってて一番絶望した生徒からの言葉

僕は高校の教員をやっていて、ありがたい事に、今は結構楽しく教員をすることができています。

でも最初からそういう訳はなく、何だかいろいろ悩みながら少しずつ状況が良くなってきました。

今日は2年前に書いた自分の文章です。20代から30代の最初にかけて僕はずっと教員をやってて本当にしんどくて・・・

そんな時にクラスの生徒から言われた一言で「オレ、もうダメだ・・・」と思い、その数年後にクラスの生徒から言われた一言で「オレ、何とかなるかもしれない」と思った。そんな話です。

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「本当に何も出来ないですよね」

と自分のクラスの生徒に言われたのが4年前だっただろうか・・

本当に驚いた。だって自分のクラスの生徒が、担任である自分に面と向かって「お前は無能だね・・」と堂々と言い放ったのだ。

そのショックたるや、その攻撃力たるや、そりゃもう本当にヤベーー感じだったわけで。突然のタメ口および、若干「北の国から」のナレーションぽい文章になってしまって申し訳ない。つまりそれくらいショックだった「わけで・・・」

でも・・・恥ずかしい話、何も言い返せないし。何だったら「本当に生徒の言う通りだな・・・」と。

しまいには、「あいつ、生徒なのに何て勇気のある奴なんだ・・・」と生徒を妙な評価をすることで、自分で自分のことを器のデカいやつにしたてるというセコい手まで使ってた気がする。

「お前、言い返すことさえも出来ないんだな」とその生徒から言われなかったことはせめてもの武士の情け、いや、生徒の情けだったのかもしれない。

実際、当時の僕は本当に何も上手く出来なかった。生徒に指示出しする時は噛んじゃうし、何なら指示を出したら3回連続でそれが間違った情報に基づいてたってこともあったり・・・

文化祭の装飾関係ではセンスゼロのアドバイス。生徒の気持ちは正直よくわからないし、資料整理できないから机の上は汚いし、仕事を一人で抱え込んで勝手にテンパる。そりゃ「たしかに何も出来ないな‥」と。

毎日何だか辛くて、「自分、本当に誰の役にも立ってないな」と自己否定が始まった。状況を変えようと思って色んな人に話を聞いたり、自己啓発本とか読んだけど、状況はあまり変わらず。

そんな時、ふとテレビを見てみたら、自分の大学の知人がテレビで特集されていた。何やら次世代の有望な経営者という紹介だった。

大学の知人は、次世代の期待の人材で、自分は自分のクラスの生徒にも無能よばわり・・・何だこの格差は・・・ピケティもビックリだ・・と当時の僕が思ったかどうかは定かではない。

でも、その時。そのテレビ番組を見た時に、「こいつに世間的な評価で追いつくことはそりゃ出来ないだろうけど、せめて自分のクラスの生徒からの評価くらいは得られる人になりたいな・・・」と漠然と思った。

「どうやったら、生徒から信頼されるんだ。自分に自信が持てるんだ。」

鬱になりかけの、働かない頭でひたすら考えた。そしてそんな中で出した答えは

「出来ない事が多いから自信が無い。だったら、出来ることをとにかく増やす。」

という超絶シンプルなもの。

それからとにかく毎日一つずつ出来ることを増やしていった。

とにかく目の前にあるものに手を出しまくって、出来ることを増やしていった。本当に小さいことを一つずつ。ちょっとしたことを一つずつ。

仕事に関係ないかもしれないけど、折り紙の折り方とかも勉強した。そしたら24面体とか折れるようになった。

「オレ、心が折れた後に、紙を折ってるのか・・・何やってるんだ・・・」とか一人で自嘲したり・・

でも不思議なもので、その年の文化祭でクラスの生徒が装飾のアイディアに困っていたので、「こんな折り紙あるけどいる?」って聞いたら、信じられないくらい生徒に感謝された。

「こんなこともあるのね・・・」って実感した。

当然、勉強したけど全然身につかなかったものもあったし、勉強して行動したら、他人に迷惑かけたことも結構あった。

少しずつ出来ることが増えていった。覚えることが増えるほど、なぜだか新しいスキルを身に付けるスピードが速くなった。

いろんな人に相談している間に、協力してくれる人の数も増えてきた。なんだか、自信もついてきた。毎日が楽しくなってきて、恥ずかしながら「人生なかなか良いもんだな」とか実感を込めて思えるようになった。

そんな頃、丁度二週間くらい前に自分のクラスの生徒にこんな事を言われた。

「先生は出来ないものってあるの?」と。

自慢みたいに聞こえるけど、本当に嬉しくて、4年前に「お前、何も出来ないな」と言われて、それが嫌で少しずつ色々出来ることを増やして、未だに出来ないことだらけだけど、遂にこういう事を言ってもらえるようになったか、と思って何だかとても感動して少し震えた。

「『自信』じゃなくて、『自震』だな」とか下らないこと考えながら、生徒の質問に答える。

「んー、そうだな、結婚かな」とボケ気味に生徒に返すと、「超納得。そうじゃん出来ないじゃん。ってか色々出来ないことある。彼女も出来ないし、婚約も出来ないし、結婚も出来ないじゃん」と言われる。

「ざっくり言うとそれ全部同じじゃね?」とか思ったのは置いといて、どうやら理想の自分まで、まだまだ道のりは遠そうだ。でも一瞬でも生徒にそう思わせることが出来たことが素直に嬉しい。

この試行錯誤の時期で得たものは少しの自信と、いろんなことを習得する中で「上達の法則」のようなモノがあると言う「気付き」だ。

日々の経験で得たものを嫌味なく生徒に伝えることができる教員になりたいな、と思う。「もう少しいろいろ実績出したいな。そうしたら説得力変わるな。」とか思う。でも、「実績ってそもそも何だ?」と良くわかっていない自分もいる。もっと様々なことを言語化していこう。

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こんなことを数年前の僕は思っていました。

ちなみに今は、iPadのアプリ「ショートカット」を使って業務がどうやったら楽に出来るかを考えることにハマっています。便利なレシピとかあったら教えてください。

ただ、教員としての自信を積み上げるショートカットはやっぱり無かったな・・・

2020年現在、テレビで見た僕の知人と、僕の社会的評価の差は縮まるどころか、ますます・・・けっこう・・・・いや、指数関数的に離れ続けている・・・・・・・・・・・・・・・・

でも・・・・・・・・・ま・・いっか。

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