スノーシューは、いいぞ。
以前、あらゆるスポーツに対するぼんやりとした考えを、過去の思い出とともにつらつらと書いた。
スポーツのうちのひとつとしてウィンタースポーツのことも取り上げていたのだが、実はその中で敢えて触れずに取っておいたものがある。
スノーシューである。
厳密にはスポーツではなく、どちらかというと”冬のアクティビティ”に属していそうな気がしないでもないのだが。
まぁ、身体を動かすという意味では同じ部類だと思うので、
『スノーシューはアクティビティでありスポーツである』
という体で今回触れていく。
そもそもスノーシューって何なのよ
ウィキペディア先生はこのように仰られている。
早い話が『まぁまぁの積雪でも靴が埋まらずに歩き回ることが出来るし、物によってはちょっとした傾斜も登ることが出来るカッコイイかんじき』である。もっと詳しい定義はウィキペディア先生が詳細も教えてくれる。
なんでスノーシューにハマったのよ
すずなすずしろがスノーシューと出会ったのは恐らく2年ほど前、札幌市民(特に半分より南側)にはおなじみの大型国営公園でレンタルしたのが始まりだったような気がする。
その時はある程度決まったルートを歩いて回るだけだったのだが、それが思いのほか楽しく、その後も何度か訪れることとなった。
(公園には複数のコースがあるので、何度来ても飽きずにできる)
そして訪れるたびに毎回スノーシューをレンタルして使っているうち、
「自分のスノーシューが欲しい」
「ここ(公園のコース)以外の場所も自由に歩き回ってみたい」
と思うようになった。
そして去年の年明け(THE 虎舞竜じゃないけどほぼちょうど1年前)、
勢いのままにえいやと購入してしまった。
買ったはいいものの早々に飽きてしまったらことだと思って入門用みたいな価格帯のものを購入したのだが、ポール(スキーのストックみたいなやつ)も収納ケースも脚カバー(いわゆるひとつの脚絆)も全部セットで付いてきたのでかなりお得だった。(ブーツに被さるくらいのスノーウェア下があるので脚カバーは使ってないけど、いざという時に持っておいて損はないと思っている)
昨シーズンは購入後に2回、今シーズンは4回ほどスノーシューをしに出掛けている。
仕事も家庭もあるのでそんなに頻繁ではないが個人的にはぼちぼちの回数だと思っており、知った当初はこんなに頻繁に行くようになるとは全く予想していなかった。
それくらい、スノーシューには何やら得も言われぬ魅力がある。
スノーシューの何がそんなにいいのよ
「言うて、結局はかんじきでしょ」
「スキーとかスノボの方が派手でカッコイイじゃん」
という声もありそう。実際あるような気がする。
その声は否定しない。する理由も特に無いんだけど。
先ほどもWikipedia先生が仰っていたがスノーシューは西洋『かんじき』というようにかんじきの範囲から抜け出すことはない。雪ん子や冬山に入るマタギの方が履いているものと、仕組み的にも機能的にも全く同じである。いや、ちょっとした違いはあるかもしれない。
そしてスノーシューはスキーやスノーボード(なんならソリも)のようにスピード感があるわけでもない。むしろ滑らないほうがいいという逆の目的を持つものである。
じゃあスノーシューの何がそんなに良いのか、という話を、個人的な見解を基に書いていく。
雪に埋まらない
雪国あるあるとして、積もった雪の中を歩くと足がズボッと沈んでしまい、足や靴が抜けなくなってしまったり靴の中に雪が入ってしまったりとエラい目に遭いがち、というものがある。
幸いにして足や靴がスムーズに抜けたとしても、歩くたびに深く沈む足や靴を抜きながらえっちらおっちら歩くのは想像以上にエネルギーを消耗するし、目的地に着くまでにこれが繰り返されるのかと悟ったときの絶望感といったら無い。
しかし、スノーシューはその苦しみの9割程を削減してくれる。
そりゃあ歩けば多少沈みはするが、構造的に圧力が分散されるので深く沈むことは無いし、靴だけピンポイントで引っ掛かってしまうことも無いので、そこから脱するためのエネルギーのソースを割くことなく歩くことができる。
ちなみに靴の中に雪が入る問題については脚絆を履いておけばスノーシューがあってもなくても解決する。元も子もないけど。
スノーシューに即して言えば、靴より広く、そんなに深くない範囲で沈めばそうそう雪は入ってこない。つまりそういうことである。
滑らない
雪が無い時期には遊歩道となっているような道であっても、傾斜があると普通の靴では踏ん張った足も踏み出した足も滑る、ずれる、足を取られるということはままある。
埋まった足を抜きながら歩くのもエネルギーを使うが、滑らないように歩くのもまた大量のエネルギーが必要なのである。
しかし、スノーシューはその苦しみの9割程を削減してくれる。
(決まり文句みたいになってきたので太字にしてみた)
スノーシューは裏側に刃が付いているので、歩く時、特に斜面を登る時に滑りにくくなっている。刃が接地面に刺さって滑りにくくなるのはもちろん、金具で固定されるのは足の甲〜先端部分で、かかとが本体から浮くように可動するので、傾斜を登る際に極端に足首を酷使することも無い。
自然公園やちょっとした山(丘?)を歩き回る等、やってることはほぼトレッキングなので、どうしても傾斜には出くわしてしまう。
でも、スノーシューなら何の問題も無いのである。
本気の登山をする場合にはスノーシューよりもアイゼンというもう少しガチ寄りの装備の方が良いという話もあるが、残念ながらすずなすずしろはスノーシューで十分な所にしか行かないライトユーザーである。
ちなみに、あくまで積雪した場所での滑る滑らないの話をしている。
圧雪アイスバーンや凍結路面で滑らないためにはスパイク付きの靴(後付け出来るやつもある)とかサップランドみたいな滑り止めが付いた靴とかを履いて、大きすぎない歩幅でペンギン歩きをすると良い。
そしてスノーシューで氷や圧雪の上を歩くのはやめたほうが良い。
自分のペースで歩いて行ける
スキーやスノボ、スケート等をする時にはある程度のスピードを要する。
快適なスピード感を醍醐味とする一方で、速過ぎてしまうと止まることができず寿命を縮めたり大幅に削ったりすることもある。
しかし、スノーシューはその苦しみの9割程を……
違う。
先ほども書いたがスノーシューはスピードや滑走感とはおよそ対極に位置するものである。
エンジンは自分自身であり、速度や加速度を決めるのも自分自身である。
好きに動くことができるし、好きに止まることができる。これはなかなかの自由度と言えるのではないだろうか。
聞こえによっては不便さや物足りなさを感じるかもしれないが、そこにこそスノーシューの醍醐味が詰まっていると思っている。
雪の中では制限されてしまいがちな『歩く』という動作を補助し、拡張してくれるのがスノーシューである。
実際、ランニングよりもウォーキングを好んでいる人にはかなりの勢いで勧めておきたい。
割とどこにでも入って行ける
ゲレンデスキー(スノボも多分こちら)やノルディックスキーの場合、ある程度圧雪し整備されたコースが主となることが多いように思う。
(中にはふっかふかの雪の中を滑りたいという強者スキーヤーもいると思うが、ちょっとここでは触れずにおく)
スノーシューには先述した『埋まらない』『傾斜に強い』『好きに進める、止まれる』という特性に加えて、靴を少し拡げた程度の大きさしかないことから、『実は機動力が高い』という特性もある。
そのため、写真のような多少密度のある林のなかにも入っていけるし、細めの木道や狭めの橋だって歩くことが出来る。
(当然、足元を含む周囲への細心の注意は払う必要があるが)
ちょっとした登りにも下りにも強いので、道中少し気になったものがあった際にパッと方向転換してその場所へ向かうことが出来る。
自然を楽しむ余裕がある
スノーシューが主に活躍するのはある程度の積雪がある場所、
つまり、自然に近ければ近いほど良いということである。
そして自然に近ければ近いほど、そこには様々な動植物が生息していたり、良さげな景色があったりする。
スノーシューの『好きに進める、止まれる』特性のいいところは、何かを見つけた(または聞こえた)時に、すぐに足を止めてそちらに気を向けることが出来るところだと思う。
ふと鳥の声がしたときに耳を傾けたり、
小さな動物の足跡を見つけたときにしゃがみ込んで覗いてみたり、
丘を登った時に広がる景色を眺めてみたりと、自由に動いて止まって楽しむことが出来るのは、スノーシューの持つ魅力のように思う。
とにかくスノーシューっていいのよ
気づけば写真も交えながら長々と書いてきてしまったが(過去最長かも)、
とにかくスノーシューって楽しいんだよ!ということを書きたかった。
スキーもスケートも勿論楽しい。スノボはやったことないけど上手に滑ることが出来たらきっと楽しい。
でもスノーシューも楽しいんだよ。
機会があったら是非やってみてほしい。
場所によってはレンタルとかもしているので、体験することへのハードルは低い。はず。
スキーやスノボで使うような専用の靴も不要で、普通のスノーブーツ(なんなら長靴でも良い)でも出来ちゃうのが気軽さに更に拍車をかけている。
あと、スノーシューはちゃんとカッコイイ。
自分の靴に装着して、ガッチャガッチャと歩いているときの『ギア感』は、刺さる人にはざっくり刺さると思う。デザインも色々あって楽しいしね。
かんじきらしいかんじきの素朴さも、それはそれで温かみがあって良い。
札幌で言えば、芸術の森や開拓の村で実際にかんじきを体験できるイベントもあるようなので、スノーシューと履き比べてみるのも良いかもしれない。
あぁ、本当に長くなった。
ここまで読んでくれた人には心から感謝します。
そして雪の積もる地域の人なら近くで見かけたら是非、雪の少ない地域の人なら北海道を訪れた時にでも是非、スノーシューを体験してみてほしい。
今シーズン、あともう何回か行きたい。
行ったときにはnoteでも『行った記』を書くようになるかもしれない。乞うご期待。