可愛い有人潜水艦

今回は丹青社70年史を読んで気になった制作物を調べてみました。
ちなみに丹青社の丹青の由来は

戦前創業者の渡辺さんが丁稚奉公していた伊藤丹青社から。
戦後伊藤丹青社のあった土地と家を引き取ったため、ではなく「丹青」という言葉が気に入っていたからだそうです。
丹青は朱色と青で豊かな彩りを表す。それにていねいさをいう丹精にも通じる言葉に、渡辺さんは丹青の業というか芸術的創造を感じて気に入っていた。

とのことでした!

パラパラと本を読んでいて、まず私は丹青社が「しんかい6500巡回展示3/4模型」を制作していたことに驚きました。


ディスプレイ業というと、建物やお店の内装・イベントや展示会の内装を作っているイメージが強くありました。本当に手広く、いろいろな立体物を作っている会社なんだな、と認識を深めることができました。

そしてなぜ海洋研究に無縁の私が気になったかというと、こちらをご覧ください。

……なんだか似ていませんか?

実は2枚目の画像の正体は、私の好きなゲーム「スプラトゥーン」にでてくる「ロボットボム」です。敵に向かってトコトコ歩いて爆発し、インクをばらまいてくれます。
このロボットボムのインスピレーション元はしんかい6500なのです。JAMSTECとスプラトゥーンがコラボした際に判明いたしました。

そんな繋がりもあるしんかい6500ですが、2019年5月現在では日本唯一の有人潜水艦となります。(2004年にしんかい2000が退役したため)

スペックは全長9.7m・高さ4.1m・乗員数3名(パイロット2名/研究者1名)、通常潜航時間8時間。深度6500mまで潜ることができるためこの名前が付いたそうです。

毎分約45m潜るため深度6500mにたどり着くまでは約2時間30分かかるとのこと。

1989年に完成したものとは思えないハイスペックさと美しさです。去年改修工事をおこないパイロット1名・観察者2名のワンマンパイロットでも潜航できるようになったそうです。一般人が乗ることはまだまだ難しいみたいですが、機会があればそのうち乗ってみたいなと思います。

さらに今回調べた中で私にとって一番有意義な情報がありました。なんでも、しんかい6500は毎年2回新江ノ島水族館で公開整備をおこなっているとか!!世界でも7つしかない有人潜水艦の整備はかなり貴重です。
都合がついた場合はぜひ整備見学の感想レポを書こうと思います。

さて話は丹青社に戻りますが、この模型が作られたのは1996年でした。
バブル崩壊後でまだ景気も低迷しており、丹青社にとって1996年はまだまだ減収減益の年だったそうです。しかし業界的には福岡にあるキャナルシティ博多・東京ビッグサイト・タカシマヤタイムズスクエア・ディズニーランドのトゥーンタウンなどが相次いでオープンし、徐々に設備投資もおこなえるようになっておりました。次の時代へ前向きに舵を切っていった年だったようです。

そんな年に深海を調査し、未知の世界を切り開く潜水艦の模型を作っていた丹青社。よいものづくりをしていると機運も回復するのかな、なんて思いました。

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