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【WORKS】M HOUSE-1/増築という選択

【プロジェクト概要】
築55年の壁式鉄筋コンクリート造住宅の増築と改修
用途:一戸建ての住宅
設計:鈴木隆介一級建築士事務所
竣工年:2023年
掲載:新建築住宅特集2023年5月号

01.はじめに

MHOUSE 竣工後の外観全景

築55年の壁式鉄筋コンクリート(以下、壁式RC)の住宅の増築と改修の設計をしました。(2023年3月竣工)
プロジェクトの内容について、4回に分けて書いていきます。
戸建て住宅の規模で、壁式RCに対して増築をするという選択は、あまり多くない事例ではありますが、このプロジェクトを終えて、可能性のある選択だと感じたので、通読していただき参考にしていただければ幸いです。

02.計画の始まり/建て替えの計画

2020年の年末に、住宅の設計を依頼したいという相談をいただきました。
クライアントは祖父母が建てた築55年の住宅で暮らしている状態でしたが、家族が増え手狭に感じていたことと、設備機器の劣化等から、当初は建て替えから計画はスタートしました。

必要な部屋・求める住環境・機能などの要望を伺い、この敷地・周辺環境・条件・予算のなかで最大限できることの可能性を探るために、案を考えては模型を作り、覗き込んだりして、ああでもないこうでもないと、様々な方向性を探っていきました。

建て替え計画時の検討模型

数カ月ほど掛けて様々な方向性を検討し、案をまとめ上げ、建て替えでの計画(新築)をクライアントに提案模型とともに説明しました。

この提案をクライアントはとても気に入ってくださったのですが、打合せのなかで、クライアントから「既存の住宅を活用するという方向性もあるのか?」という話があがりました。

建て替え案の提案模型
建て替え案の提案模型

僕としても、

・既存はコンクリート造の住宅で全解体に費用が掛かること(600万円程度)
・既存の躯体状況は一見して良質そうであること

から、既存を活かす可能性はあり得ると思ったため、
「既存を活かす可能性は十分にあり得るため、構造の専門事務所にも相談し、躯体的に問題なさそうであれば、既存を活かす案も提案します。」
と回答し、構造専門事務所への相談等の結果、既存を活かした案も提案し、「新築案」と「既存活かし案」の2案を比較してクライアントに選んでもらうことになりました。

03.増築という選択

既存活かし案は、既存だけでは面積的に不足していたため「増築と改修」(以下、増築案)という提案をすることになりました。
この増築案も様々な方向性を検討し、最終的には
増築案2案+最初の新築案の計3案の提案をクライアントに見ていただき、選んでもらうことになりました。

増築案提案模型(竣工案とは異なる)

「増築案」は新築と比べて制約があるため、クライアントが望む住宅ができるのかイメージしづらかったようなのですが、新築案・増築案ともに模型を用いて提案をし、新築と比べて忖度のない計画を増築でも可能であることが、クライアント自身も分かったようで、結果、「増築案」で計画を進めることになりました。

【WORKS】MHOUSEの記事第一弾は以上です。ご覧いただきありがとうございました。
次回は
・旧耐震に対しての増築のハードル(法規制)
について説明予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。

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