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落ちてたポストカード

中学の時、江戸川乱歩とか横溝正史を愛読し、古屋兎丸から丸尾末広に触れ、そして最終的に月岡芳年にハマるみたいな典型的なアングラ風味のサブカル好きだった。

あの頃のおどろおどろしいものへのトキメキはもう無くなっちゃったんだけど、あれは一体なんだったんだろう。

本の整理をしてて見覚えない本が、山本タカトの画集でびっくりしてしまった。わたし、これ持ってたんだって。

悪?をよしとする私かっけえ的なマインドなのか、小学生がトンボの頭をとって喜ぶやつの延長なのか、よく分からないけど、あの時の情熱は異様だった。

エロの入り口が乱歩で、そこを追っかけてるうちにアングラへの興味が高まっちゃったってのが1番正しいのかもしれないな。

アングラ、私風情が語るのもおこがましいが、健全な正しさなくして成立しないとこに惹かれる。秩序のないところには混沌はない。そこにある放埓さに憧れてた。

カネオヤサチコさんってイラストレーターの方がいる
ヘッダーは2016年の個展のポストカードです。

おにいさんを題材にした…みたいな説明文が多いのかな。とにかく髭剃りのこし、ヨレヨレしわしわのシャツ、青縞模様のトランクスみたいなどうも、うだつの上がらないお兄さんをちょっと、いやかなりセクシ〜に描いている方だ。サイケな色調と厚塗りが特徴。

いやもうかれこれ5年くらい好きなんです。乱歩も芳年もそんなに見てないのに、カネオヤさんだけは展示があれば通ってる。銀座のヴァニラ画廊に。

絵の中のおにいさんは結構しどけなーい格好をして、まあまあな目に遭ってることが多いんだけど、自分の放埓ぶりを開き直ってるというか、諦めている感じがする。明るく元気ではないけどイェイイェイのテンションなのだ。つられてこっちもえろ〜〜〜い!わっしょい!わっしょい!みたいな気分になる。

ダメ人間万歳!それに惹かれるお前(私)もオッケー!みたいな気持ちになって安心して見てられるんですよ。

だから友達にお前!ヒモ飼ってそうだよな!!ガハハ!!って言われた時、そんなことありませんツーンみたいな顔をしながら内心カネオヤさんのイラストを思い出してひえ〜〜!となったりしていた。

昨年個展にお邪魔した時、カネオヤさんご本人らしき人物がいらっしゃっていた。パニックになってしまった私は、急激にお腹が痛くなってお目当てのポストカードと画集を買って逃げるように出てきた。銀座の街は美しくて、私の昂りと不完全燃焼のモダモダにはまるで合わない。

それで家に帰ってずっと好きだったイラストレーターさんと鉢合わせちゃったキャピキャピみたいな話を家族にした。もちろん、エロ〜い!なんて思ってるとは話していないし、両親は私がアングラに心惹かれたりストリップに通ってることを知らない。

浮かれていたんだ、完全に。

翌日リビングの一番目立つテレビ台の上には昨日買ったポストカードがおかれていた

いわゆるケモナー志向のもので、ボロボロのお兄さんがでっかい狼女に………うっこれ以上言うまい………部屋にこっそり保管しておくはずのものだったのに…

あんなに恥ずかしいこと、無い。

カネオヤサチコさん的な不健全な世界が性癖だと言えるほどまだ私は長く生きてないんだけど、好きではあるし、それがあまり共感されないものだとも分かってる。

そこに主張は発生しないんだ。親に説明するなんてありえない。私!ぼろぼろになってる人見ると嬉しいんです!!!なんて声高々に喋り始めたら地獄だろう…

誰にも迷惑かけなきゃいいじゃん…何好きでも……そう言い聞かせてなんとか回復した。今でも思い出すと死んじゃいそうになる。カネオヤさんの作品は素晴らしい……私が自意識過剰だから……

人が良いと思うポイント、共感し会えたら楽しいけど100%分かり合えるわけない。○○好きなんだの○○がどんなにぶっ飛んでいても、誰かに迷惑をかけない、傷つけない限りホーーーン。という姿勢でありたい。

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