台風による帰国難民になって思ったこと
#台風19号 による空港閉鎖で #帰国難民 になりました。二日たった現在も同じように困っている方が多くいるようなので、自分の経験と航空会社や旅行代理店に対して思うところを書きます。
1 ヶ月前、台風 15 号の被害によって千葉方面の鉄道や道路が長期にわたり遮断しました。結果として成田空港に一万人超の滞留者が発生、その様子は SNS 等で拡散されメディアでも取り上げられて空港の対応が批判されました。
そして今回。台風 19 号接近時には鉄道会社が事前に長時間の運転取りやめを早々に決定。先の台風の経験からか空港は着陸停止を宣言し、多くの航空会社が同日に到着する便の欠航を決めました。結果として空港には滞留しなかった代わりに、多くの帰国難民が発生しました。海外に出張していた自分もその一人で、航空会社のサイトで運行状況を調べた結果、帰国前々日の深夜に自分が乗る便の欠航を知りました。
翌朝(帰国前日)日本の営業時間開始と同時に代理店に電話。代理店から一向に返答が来ないので、5時間後にもう一度問い合わせてみると、航空会社の営業にかけあったがなかなか空席が見つからず三日先の便にわずかにあるのみ、他の航空会社に変更する場合には帰りのチケットを捨てた上で片道航空券を買い直すように言われました。熟考の上、やはりチケットをすてるのは馬鹿馬鹿しいので、言われた通り三日先の便に変更しました。ホテルは自分で延泊先を手配。3泊余計に滞在することになったため仕事もプライベートも諸々予定を組み直すために連絡をとることに忙殺されました。
今回の空港閉鎖により、空港を経由して内外に行き交うトラフィックが1日遮断されたことになり、それによって影響をうけた人は前回と同じかそれ以上(今回は羽田も止まったので)いると思われます。しかし、それらの人は世界中の出発地に分散しているので見えにくく、絵にならない。よってメディアに取り上げられることもありません。代理店や航空会社に問い合わせても、返答がなかったりたらい回しにされたりしている方がいるし、一方、航空会社サイトの運行状況では「通常通り」の表示があって帰国できない人の神経を逆撫でしている状況。欠航した便の乗客はいまだに空席を見つけられないのに、その後に乗る乗客は「通常通り」に行き来しています。
こういう状況で旅行者が頼れるのはサポート窓口です。が、残念ながら、現場の担当者ができることは限られていると思います。代理店にしても航空会社にしても、本来会社がこういった事態を想定して対応方針を準備しておいてほしい。たしかに今回の台風は大きかったかもしれないが、日本には毎年台風がくるのだから。影響の大きい関東圏にも年一回程度は必ず来ます。
マクロな視点で見れば、たった1日旅行トラフィックが停滞していただけ、かもしれません。が、一人一人それぞれに事情があり、大げさに言えば人生がある。新婚旅行でまきこまれた人もいるかもしれない。初めての海外旅行かもしれない。旅行になれていない人は不安でたまらないだろうと思います。
こういう状況は顧客の心をつかむチャンスでもあるはずです。例えば欠航が決まったらすぐにメールやチャットが来て「こういう便に振替え可能です。いかがでしょうか?」とか、「現地でこちらのホテルが手配可能です」とか、提案が来ていたらたとえ多少お金を払う結果になったとしても、またその会社を利用したくなるはず。少なくとも自分はそうです。今回は自分から聞かなければ何もしてもらえなかったし、そもそも問い合わせの電話すらなかなか繋がらない(日本の休日にも関わらず航空会社の問い合わせ窓口があいていたのはよかったが)。航空会社にメールもしたけれど、結局二日たっても返事はこなかった。こんな状況ではそれまでどれだけすばらしい体験があっても一気にその印象は吹き飛び、悪い記憶しかのこらない。
よく言われることですが、人は何が起こったかは忘れやすいが、その時にどんな気持ちだったかは忘れにくい。感情を動かす経験があると、いい方向でも悪い方向でも、それは残っていきます。
今回利用した航空会社も代理店もできれば今後使いたくないと思ったし(他の会社でも同じ、もしくはそれ以下の対応だったかもしれないけれど)、少なくともロイヤリティ(信頼)は大きく下がりました。アプリを便利にしたり、サイトを改善して売り上げを上げることは大事なことだけれど、緊急時の対応が電話のみだったらその際のユーザ経験はなにも改善されていない。今回のようなクリティカルな状況をしっかりと考えてサービスを設計しておいてほしいと思いました。
この記事を書いている時点でなお、帰国の目処がたたない方も多くいらっしゃるようです。できるだけ早く全員が帰国できることを祈ります。