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I Believe / Tim Burgess
言わずと知れたThe Charlatansのヴォーカリストでフロントマン。
バンドは、マッドチェスタームーブメントからブリットポップを経て、今でもずっと活動を続けるほとんど唯一の存在と言っても過言ではない。しかしその歴史は順風満帆とは程遠く、30数年の歴史の中でメンバーが2人亡くなっているという悲しい事実がある。
ただ音楽性で言えば、暗いとかしみったれた雰囲気はあまり感じられない。ライブ活動も長く休んでいる印象もない。
続けること。The Charlatansはそれだけでも本当に賞賛すべき存在だと思っている。
で、Tim Burgess。自分にとっては、SNS好きなおじさんという印象(笑)。Instagramは自撮り多め。また、彼が発案したListening Party(同じ時間に同じ音楽作品を同時に再生し、twitterのタイムライン上で感想を共有する企画)は、一つのプラットフォームになった感があるけれども、要するにSNSというかコミュニケーションが好きなんだろうなと思う。
そして何より、根っからの音楽Loverなんだという印象もある。
音楽をずっと続けているのもそうだし、SNSを使った音楽の聴き方を提案するのもそうだし。
2003年に発表されたTimの初ソロ作、この”I Believe”はまさにそんな音楽愛に溢れた作品だと思う。
ソウルマナーに溢れた’Only A Boy’や’Say Yes’。カントリー風な’Years Ago’。フォークソング的な’We All Need Love’など。
革新性と呼べる要素は全くないけど、彼が好んで聴いてきた音楽へのリスペクトが存分に感じられる。本当に良い作品。
その後のソロ作は実験的な要素も強くなったりするけど、それはその時々で興味のある音楽を鳴らしているだけなんだと思う。そのフットワークの軽さが、いかにもTimだなと思う。
夏が近づくと、”I Believe”が聴きたくなる。
いつまで経っても夏は青春の季節。音楽が好きだというシンプルな想いが詰まったこの作品は、とにかく青春の音楽だなと思う。
この’Only a Boy’のビデオがまたシンプルだけど青春っぽくて、なんだか泣けてくる。