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【2024/12】PMI-ACP取得体験記

まだ日本国内でPMI-ACP資格取得者も少ないことから、なかなか勉強方法やその取得プロセスを知る機会が得にくいことから、情報共有や振り返りを目的として記録として残しておくもの。

PMI-ACPとはなにか

アメリカのPMIというプロマネメソドロジーや資格を提供する組織が、アジャイル実務者向けに提供する資格。PMIが提供する資格のうち、最も有名なものはProject Management Professional (PMP)だが、アジャイルに特化した資格もいくつか提供されている(下図参照)。色々ゴチャゴチャと資格が乱立していてわかりにくいが、Disciplined Agile® Certification FAQsを見るとなんとなく理解できる(各資格が誰を対象にどのような能力を証明するかが端的に説明されている)。

アジャイルチームにおける実務経験を証明すると記載されている通り、PMI-ACPは基本的かつ汎用的な知識を証明する資格の位置付け。正確には、「PMI Agile Certified Practitioner (PMI-ACP)®」と呼ぶ。PMIが提示するAgile Learning Journeyによると、次のステップとして資格を目指す場合はDisciplined Agile Senior Scrum Master (DASSM)が視野に入るらしい。

PMI提示のLearning Journeyに従った場合、PMI-ACPまたはDASMを最初に取り組みはじめるイメージだが、両者を費用面や資格維持の観点で見た場合にいくつか異なる。PMI-ACPがPMPと同様に3年サイクルで更新となるが、DASMでは更新サイクルが1年となる。

  • PMI-ACP

    • 受験料:$435(会員)、$495(非会員)

    • 更新サイクル・費用:3年・$60(会員)、$150(非会員)

  • Disciplined Agile Scrum Master (DASM)

    • 受験料:$399(会員)、$499(非会員)

    • 更新サイクル・費用:1年・$20(会員)、$50(非会員)

PMI提供のアジャイル資格全体像。PMI公式ページより引用


資格取得パス。PMI公式ページより引用

なぜ受験したのか?

PMP取得後の次の学習としてアジャイルに特化したメソドロジーの習得ができるとよいと思った。PMIが提供する資格においてはPMI-ACP以外に、Disciplined Agile Scrum Master等の関連資格があったが、PMI-ACPが最も汎用的な資格かつ基本的なものであったため、PMI-ACPを受験することに。

実際には、アジャイルに関連する資格として、PMIが提供するものに限らず、Scrum Alliance等によるもの等もあるようだが、調べている限り費用面でリーズナブルなもの(少なくともそう見えた)はPMI-ACPだった。ある合格体験記によると、日本におけるPMI-ACP保有者数がまだ世界各国と比較して少なく、今後の国内での手法の浸透を見据えた際に知っておくのは価値があると考えた。

また、数年前にPMPを取得しているが、そこでの体験からPMIが提供する資格や教材・手法に感動していたため、できればPMI主催の資格がよかった。PMIはメソドロジーの提供・公開をはじめとして、資格保持者への情報提供を積極的に行っている。PMPといい、PMI-ACPといいプロジェクトに従事するメンバーが共通言語としてその手法やマインドセットを知っておく、ことはプロジェクトの成功可能性や再現性を高める上で重要と思う。必ずしもPMIによるものである必要はないものの、各組織が提供する中で最も客観性・中立性が担保されたものと思う。資格保持バイアスがあるけれども。

その他にも、そもそもが米国の組織による資格認定であることから、必然的に英語で学ぶ可能性が高くなることも副次的なメリットだと思う。Content and language integrated learningにつながる。


1. 受験準備(2024/9-10)

認定プロバイダによる研修の受講とアジャイル実務経験等を記載した上での受験申請が必要。私はPMPを保持していたため、認定プロバイダ研修受講とアジャイル実務経験をアプリケーションに記入して受験申請を実施。受験申請後、1週間で受験申請が許可された旨の連絡がメールで到着。

1-1.オンライントレーニング受講

費用面と簡便さから、PMP取得時にもお世話になったudemyプラットフォームを利用して研修を受講。どうしても日本語教材は値段が高額となるため、ハードルが高くなってしまうため、英語の勉強も兼ねて英語研修を選ぶのがベターと思う。私が選んだのは、udemyでの評価が高かった「Get your PMI-ACP Certification with this PMI Accredited exam prep course. Updated for current PMI-ACP Exam.」で、実際に講師の話が面白かった(適当に流し聞きしていただけだけど)。費用はセール価格で1,500円。

プロバイダー名称:Technical Institute of America
Course Title: PMI-ACPCertification ExamPrep 21 PDUCourse. FULL TRAINING
(アプリケーション申請時の記載情報)

真面目に1.0倍速で動画を見続けるのは大変すぎると思い、基本は1.25倍で口座を視聴、模擬テストを受験した後なんとか完了し、修了証明書をゲット。

1-2.アジャイル実務経験振り返り

Udemyで修了証明書をゲットした後は、その内容とアジャイル実務経験をアプリケーションに記入し、PMIへサブミット。アジャイル実務経験は100-500 wordsで準備する必要があり、Gemini(Googleの生成AI)やGrammarlyの協力を得つつ、アジャイルのキーワードを散りばめて書き終える。

アジャイルプラクティスを採用した、と明確に宣言したプロジェクト経験が私にあるわけではないが、Udemyで学んだ内容と部分的にでも関連していればアジャイル実務経験として捉えて書いた(実際問題アジャイルであると言えなくもないだろう)。記載内容に抜け漏れがないよう、Objective/Outcome/Role/Responsibilities and Deliverablesと見出し毎に過去の経験を思い出しながら文章を肉付けしていった。話は逸れるがGrammarlyを利用して文法・スペルミスの有無をチェックした。

1-3.受験申請

アプリケーションに必要事項を記載した後は、清水の舞台から飛び降りるつもりで$435を支払い(PMI会員であるため、非会員より少し安い)。

アプリケーションのサブミットから受験許可のお知らせまでは1週間だった(監査の有無にドキドキしながらも特段監査は発生せず)。受験許可を得てから、1年間が試験受験までの猶予とのこと。

1-3.勉強方法

色々な方々の受験記録を読んだ限りでは、日本語で書かれた信頼できる書籍はアジャイル グローバル資格対応 PMI-ACP試験パーフェクトマスター [ 鈴木 安而 ]とのこと。ただ、2021年の書籍であることと紙の本を持ち運ぶ手間を避けたかったため、その他調べた結果、英語であるもののPocket Prepというアプリで手軽に問題を解けるサービス(計500問*)があったため、これを用いて試験まで駆け抜けることを決意。
*500問はRMC Publishingの緑の問題集等から引用したものと思われる

試験直前までPocket Prepで問題を解くのと、それに関連してわからない用語を生成AI(Perplexity)やGoogleで調べる勉強を継続。アプリで計測されるStudy Timeは最終的に21h 53mを記録していた。ただ、最終的な正答率は77%。ギリギリでの合格だったため、他の学習方法もあったかもしれない。

今回はPocket Prepのみで切り抜けたが、PMP受験の際にテキストをよく見かけたRMC Learning SolutionsによるExam Simulatorもありだったかも。Pocket Prepと比較して、スマホ画面最適化がされているか否かが確認できなかったこととシンプルに安かったため、結果的にPocket Prepを選んだ。

udemyの講師も話していたが、アプリケーション申請から受験までのリードタイムは早ければ早いほどモチベーションも維持できるしベターだと思う。


2. 受験(2024/12)

2-1.日程予約

2,3週間後の日程で受験しようとしたところ、会場受験の場合は数ヶ月先でないと受験が可能な時間枠がなかったため、オンライン受験かつ試験言語が英語で受験することにする(試験問題・試験監督とのコミュニケーションが英語か日本語かによって、試験の空き枠が変わった)。もちろん英語を選択したほうが、試験のスケジュールでも柔軟性がある。

2-2.試験直前

ピアソンのオンライン試験とのことで、使用するPC周辺の片付けや掃除を試験前に実施(試験直前のチェックイン時に周辺の画像撮影を求められる)。

試験に使用するPCのシステムテストも必須。PCカメラ・マイクや試験アプリケーションの起動に問題がないか否か確認をしておく。

2-3.試験当日

試験直前のチェックインのタイミングでは、本人確認のための自身の顔画像や机周辺の写真撮影を求められる。チェックインが試験予約時間の30分前から開始するが、慣れていない場合はそれなりに時間がかかるため、最短でチェックインを開始するのがよい。

試験開始後からトイレに行きたくなるも途中退席はできないということで我慢。試験問題120問のうち、60問が完了したタイミングで当該パートをいったんサブミットすると10分の休憩時間が与えられるため、そのタイミングでトイレに行った。

120問(4択)を210分で実施する試験。4択なので1時間ぐらいですぐ終わると舐めて挑んだが、全て英語であることもあり2時間以上はかかっていたと記憶。


3. 合格発表

試験後のPC画面をクリックして進めていくと、「Congratulations!」が表示されたので、なんとか合格したのではと知る。スコアレポートを含む合否は、試験の翌日にはPMIから「Congratulations, you have obtained a PMI-ACP」タイトルのメールを受領し、そこで確認ができた。ドメイン毎のパフォーマンスは、Certification Exam Reportにて確認ができる。自分の場合は、Mindset/ProductがAbove Targetで、Leadership/DeliveryがNeeds Improvement。合計でボーダーラインをギリギリ上回る形で合格。

なお、Credlyにおけるデジタルバッジも試験の翌日には発行され、Credly管理画面で確認ができた。

Earners of the globally-recognized PMI Agile Certified Practitioner (PMI-ACP) have demonstrated their knowledge and skills in agile practices, tools and techniques that are applicable across virtually any industry and methodology. Earners have demonstrated their knowledge and experience with agile principles and mindset, value-driven delivery, stakeholder engagement, team performance, adaptive planning, problem detection and resolution, and continuous improvement.

CredlyのPMI-ACP badge説明画面より引用

取得費用合計:71,050円

以下に内訳および合計を記載。PMI会員であるため、会員費用は発生しているがここでは割愛。今後は3年毎の更新費用が発生することが見込まれる。

  • Udemyコース:1,500円

  • PMI支払い費用:66,373円($435)

  • Pocket Prep(1ヶ月プレミアムプラン):3,177円($20.99)

  • 合計:71,050円


参考にした合格体験記

PMI-ACPに係る体験記は、その学習教材と同じく、日本語話者におけるそもそもの資格保有者数が限られていることからなかなか見つけることが難しい。

PMI-ACP®合格体験記
2020年のブログポストだが、丁寧に試験が解説されている。

Disciplined Agile Senior Scrum Master (DASSM) 合格への道
PMIにおけるAgile関連資格の位置付けが理解できる。


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