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『すずめの戸締まり』を観ての感想


ストーリー


 宮崎県日南市の17歳の女子高校生・岩戸鈴芽(いわとすずめ)は、2023年9月25日、実在しない立教大学教育学部の大学生4年生で「閉じ師」の宗像草太(むなかたそうた)と出会う。そして、何も知らぬまま、西の要石を抜いてしまいトマソン「後ろ戸」を通って常世のミミズが出てきた。ミミズが倒れると大地震が起こるといい、岩戸鈴芽は、宗像草太と共に「後ろ戸」を締めて、大地震を防いだ。また、解放された要石は子猫「ダイジン(大臣)」に変身し、2人を次の「後ろ戸」に導く。

※全国に点在する「後ろ戸」を閉じていくロードムービーで、岩戸鈴芽の成長を描く。

設定解説

1.要石

 地震は地下のナマズが引き起こすとされ、地下のナマズを押さえつけるのが要石です。

・茨城県鹿嶋市の鹿島神宮
・千葉県香取市の香取神宮
・三重県伊賀市の大村神社
・宮城県加美町の鹿島神社
に存在します。

 この話を聞いた時「地下にナマズ? ナマズって沼にいるもんじゃないの?」と思いましたが、ミミズなら納得です。

2.天鈿女命(アマノウズメノミコト)

 岩戸鈴芽(いわとすずめ)のモデルは、天岩戸隠れした天照大神を引き出す時に活躍した天津神・天鈿女命(アマノウズメノミコト)で、夫は天孫降臨の時に道案内した国津神・猿田彦神になりいます。

 岩戸鈴芽のコンビが猿田彦神ではなく、子猫の大臣(多分、武内宿祢)であったり、宗像草太(多分、道主貴(みちぬしのむち)・宗像三女神)であったりするのは解せません。黄泉に通じる出入り口を「千引の岩」で閉じる伊弉諾(イザナギ)尊と菊理姫命のペアの方がよろしいかと。

3.祝詞(のりと)


 岩戸鈴芽と宗像草太が出会った坂道は黄泉平坂でしょう。黄泉に通じる出入り口を「千引の岩」で閉じるかと思ったら、相手の事を思うと「後ろ戸」に鍵穴が現れ、鍵をかければいいという。
 その時、「閉じ師」が唱える祝詞が、

かけまくもかしこき日不見(ひみず)の神よ。
遠つ御祖(みおや)の産土(うぶすな)よ。
久しく拝領つかまつったこの山河、
かしこみ、かしこみ、謹んでお返し申す。

です。
 「日不見(ひみず)」は「日高見(ひだかみ)」の対義語で「陽の当たらない」=「地下の」=「常世の」の意味です。(ナマズと掛けているであろうミミズは地中に住んでいます。)

 家を建てる時、その地の産土社の神主を呼び、祝詞を詠む「地鎮祭」をして、その土地を所有する地主神に挨拶後、鍬入れをします。この風景は見たことありますが、家を出て空き家にする時や、廃墟を破壊する時、地主神に土地を返す「戸締まり」の祭りは見たことないです。やってるのかな? 「墓じまい」の仏事はありますけどね。

考察動画集

■TOLAND VLOGさん


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