懐玉道温『伽藍開基記』(巻4)「諸州精藍」鳳来寺(1689)
『伽藍開基記(がらんかいきき)』
黄檗宗の懐玉道温の著書。全10巻。元禄2年(1689年)脱稿、元禄5年(1692年)刊。禅宗を中心に日本の有名な寺院の創建年代や縁起由緒、開基の事跡などを記し、巻尾に僧綱階・戒壇・放生・禁制などを付記する。
鳳来寺(第四十二代文武皇帝大宝元年創至元禄巳巳二年九百八十九年矣)
参州設楽郡煙岩山鳳来寺利修仙人開創之所薬師如来之霊場亦大伽藍也開山利修仙人者和州人出于高賀茂家母夢金人来入口而孕乃本朝三十代欽明天皇御宇庚寅四月初七日生字之日利修為童子時稟気正直天縦明敏常慕仏乗無意于世栄厥後入当山千寿峯勤修梵行一夕五台山長仙人来授以仙術而得寿命千歳覚即得其道故名曰千寿峯自是利修常修護摩法其香煙薫岩石至今猶在故当山以煙岩名之其殿之西北高峯有椙樹七株有八天童来礼之而唱偈曰
椙木医王薬師仏 一歩一見諸群生
現世安穏得長寿 後生無量寿仏国
利修乃取此椙樹一株手造薬師日光月光三聖像毎一鎸三礼並十二大将四天王以安于岩上時代四十二王文武天皇不予上夢一異人奏曰参州設楽郡煙岩山有利修仙人者能治帝患覚乃宜侍臣公宜召利修仙中使至煙岩山路次有大河不得渡俄有群猿持大木来乗之得巳乃乗鳳吹簫入金関持年七日聖躬平復竜顔大悦以玉帛賜之利修曰某不用惟兾陛下安国利民天下太平便仏法興隆則所賜多矣帝由是勅創精藍󠄂移置尊像利修嘗乗鳳入宮因賜額曰鳳来寺時大宝元年也其像霊応益盛一瞻一礼者靡不得其利矣即薬師十二大願曰願我来世得菩提時若諸有情衆病遍切無救無帰無医無薬無親無家貧窮多苦我之名号一経其耳衆病悉除身心安楽家属資具悉皆豊足乃至証得無上菩提信仏語不虚也其中所有堂閣鎮守神社若于又有子院僧坊凡数十所又有寺産荘田三千石実一方大伽藍也其後五十七代陽成帝元慶二年利修告衆曰我以此身入定遠待竜華之会乃入当山岩窟不出自時厥後有清信者時時聞鈴音云。
※鳳来寺の扁額は、文武天皇から賜ったとする。
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