塵輪鬼(じんりんき)は八岐大蛇か?
塵輪鬼(じんりんき)は、沈輪鬼(ちんりんき)ともいう。
(「じんりんき」ではなく「ぢんりんき」であろう。)
御存知ない方も多いだろうが、
・日本に攻め込んだ異国人の先陣の大将
→仲哀天皇に討たれる(石見神楽「塵倫」)
→仲哀天皇にも矢が当たり崩御(『八幡愚童訓』)
・実は八幡大神(『八幡宇佐宮御託宣集』)
・仏敵の麁乱荒神(『元亨釈書』)
・蒙古の大将(「岡本頼元奉納祝詞」)
日本史のあちこちに登場する重要人物、いや、重要怪物である。
あちこちに登場するので正体というか本質を把握しにくい。
───塵輪鬼の共通点を探り、その正体(本質)に迫ってみた。
さらに、「鬼」の定義を試みた。
1.石見神楽「塵輪」(仲哀天皇が退治)
日本武尊の子・仲哀天皇が、自ら塵輪を退治する物語(ストーリー)。
「塵輪」は、日本に攻め入った異国の大将軍だという。仲哀天皇の死後、仲哀天皇妃の神功皇后は、海外進出「三韓征伐」を果たすが、それ以前に日本が外国に攻められていたとする設定(「異族襲来説話」)が興味深い。
天皇が実名で登場する演劇って珍しいと思う。
🔳都治神楽社中 (つちかぐらしゃちゅう)
石見西部を中心とした八調子神楽で、神社の例祭はもとより県内外の諸行事へ積極的に参加している。保持演目は、「鈴神楽」「塩祓」「八幡」「弁慶」「天神」「塵輪」「大江山」「恵比須」「頼政」「日本武尊」「八十神」「道返し」「黒塚」「かっ鼓」「切目」「岩戸」「神祇太鼓」「鐘馗」「五穀種元」「天蓋」「鹿島」「八衢」「大蛇」「五神」と多い。
■演目「塵輪」
人皇第14代仲哀天皇の御代、異国より日本征伐を企てて数万の軍勢が攻めてきた。 その中に「塵倫」という身に翼があり、黒雲に乗って虚空を自由に飛び回る神通自在の大将軍(塵輪は翼を持ち黒雲に乗って飛来する鬼なので、衣裳の背中には翼が描かれている)がおり、国々村里を荒らし、多くの人民を滅ぼしていた。しかし、我が日本国には、この大悪鬼にかなう者がいなかった。そこで、仲哀天皇自ら不思議な霊力のある十善万乗(じゅうぜんばんじょう)の神変不測の弓矢(天の鹿児弓(あまかごゆみ)と天の羽々矢(あまはばや))を持って高麻呂を従え討伐に向かい、激戦の末、神通力を持ち、戦術にも長けた鬼を退治した。
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