大綿津見神（オオワタツミノカミ）
なげけるか いかれるか
はたもだせるか
きけ はてしなきわだつみのこえ
（『きけ わだつみのこえ』冒頭「はてしなきわだつみ」）
ワタツミ・ワダツミ（海神・綿津見）とは、日本神話の海の神。転じて海や海原そのものを指す場合もある。
概要
『古事記』は綿津見神（わたつみのかみ）、大綿津見神（おおわたつみのかみ）、『日本書紀』は少童命（わたつみのみこと）、海神（わたつみ、わたのかみ）、海神豊玉彦（わたつみとよたまひこ）などの表記で書かれる。「ワタ」は海の古語、「ツ」は「の」を表す上代語の格助詞、「ミ」は神霊の意であるので、「ワタツミ」は「海の神霊」という意味になる。
「海神」といえば、須佐之男命である。
『古事記』では、伊邪那岐命が黄泉の国から帰還し、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊を行った際、左目を洗うと天照大御神、右目を洗うと月読命、次いで鼻を濯（すす）いだ時に須佐之男命が産まれたとする。この「三貴子」には、統治を任せた。統治領域は、
・天照大御神は昼の天（高天原）
・月読命は夜の天（夜の食国（おすくに））
・須佐之男命は海原
である。
於是詔之「上瀬者瀬速、下瀬者瀬弱」。而、初於中瀬墮迦豆伎而滌時、所成坐神名、八十禍津日神訓禍云摩賀、下效此。
次大禍津日神、此二神者、所到其穢繁國之時、因汚垢而所成神之者也。
次爲直其禍而所成神名、神直毘神毘字以音、下效此。
次大直毘神、次伊豆能賣神。幷三神也。伊以下四字以音。
次於水底滌時、所成神名、底津綿上津見神、次底筒之男命。於中滌時、所成神名、中津綿上津見神、次中筒之男命。於水上滌時、所成神名、上津綿上津見神訓上云宇閇、次上筒之男命。此三柱綿津見神者、阿曇連等之祖神以伊都久神也。伊以下三字以音、下效此。故、阿曇連等者、其綿津見神之子、宇都志日金拆命之子孫也。宇都志三字、以音。其底筒之男命、中筒之男命、上筒之男命三柱神者、墨江之三前大神也。
於是、洗左御目時、所成神名、天照大御神。次洗右御目時、所成神名、月讀命。次洗御鼻時、所成神名、建速須佐之男命。須佐二字以音。
右件八十禍津日神以下、速須佐之男命以前、十四柱神者、因滌御身所生者也。
此時伊邪那伎命、大歡喜詔「吾者生生子而、於生終得三貴子」。卽其御頸珠之玉緖母由良邇此四字以音、下效此取由良迦志而、賜天照大御神而詔之「汝命者、所知高天原矣」。事依而賜也、故其御頸珠名、謂御倉板擧之神。訓板擧云多那。次詔月讀命「汝命者、所知夜之食國矣」。事依也。訓食云袁須。次詔建速須佐之男命「汝命者、所知海原矣」。事依也。
須佐之男命は「母親に会いたい」と言って職務放棄し、高天原を追い出されて地上に降臨し、子孫（娘婿？）の大国主命が大地（日本国）を、海原を海神豊玉彦（わたつみとよたまひこ）が支配することになる。
海神・豊玉彦の娘が豊玉姫で、私的には、
・豊玉彦＝竜宮城の龍王（正体は龍）
・豊玉姫＝竜宮城の乙姫（正体は龍ではなくワニ（サメ？））
のイメージである。
※竜宮城の位置については、海中説と海上説がある。私は、竜宮城は、川の淵の底や巨大洞窟、つまり、大地の地底にあるような気がしてならない。
伊勢神宮（内宮）は、巨大な洞窟の上に建てられ、その洞窟は宝物殿（竜宮城）になっているという伝承もある。
※親子と言えば、『古事記』によれば、宇迦之御魂神は須佐之男命の息子（一説に、稲荷神は男神であるが、稲荷神と異名同一神の宇迦之御魂神は女神だという）であり（『日本書紀』ではイザナギとイザナミの子）、『全領域異常解決室』では両者（両神）の年齢が逆転している。
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