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謎の「天白神」は「天伯神」だ!

伊勢国の諸社に天白大明神というもの多し。何神なるかを知るべからず。恐らくは修験宗に天獏あり。是なるべし」(谷川士清『和訓の栞』)

天白神社といえば、名古屋市の天白神社が有名?
名古屋市天白区を流れる天白川の河口が、「桶狭間の戦い」の舞台の鳴海。

天白神がなぜ「謎」なのかと言うと、天白神社によって祀られているご祭神が異なる(全部で50種類くらい)からです。(多数決なら、天白神は、瀬織津姫命か、猿田彦命かな。)

「天白神の正体」については、
 ①水神(川神)説
 ②風神説
 ③星神説
 ④養蚕&織物の神・天白羽神説
があります。

(1)水神(川神)説

 天白神社は、天白川や矢作川など、川岸にある神社ですので、天白神は、川神、治水神だと思われます。

(2)風神説

 柳田國男が『山民の生活』で「風の神」であると論破し、『岡崎市史』では「伊勢国から来た風水神」としています。
 伊勢国の風水神は、伊勢津彦命ですが、私は伊勢津彦命を祀った天白神社を知りません。

(3)星神説

高平、按ずるに、天一神、太白神、此神二神を祭れるならん」(中村高平『駿河志料』)

 星神説のネックは「天白星」という星がないことで、
説①:天白星とは、「太白星」(金星)の別称であろう。
説②:天白星とは、「北極星」の別称であろう。
説③:北極星の近くの「一星」と「太星」(金星)の合成語であろう。
等の諸説が生まれています。

説①:「天白星=太白星」説の支持者は、江戸時代から多いです。
説②:「北極星」は天皇のことです。「天皇」は解字すれば「天・白・王」で「天白の王」となりますが、天白神=天皇とする天白神社はないのでは?
説③:北極星の近くの「天一星」は「太一星」とペアであり、「天一太白」と、「太白星」とはペアにしません。
 ちなみに、「天皇=北極星」説が主流ですが、私の説は「天皇=太陽」です。(『古事記』に大年神(太陽神・天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊と異名同神?)の御子神「白日神(しらひのかみ)」が登場します。太陽神です。)天白星(天にある白い星)という星があるのであれば、昼なら「白日」(太陽)、夜なら太白星(金星)でしょう。

(4)天白羽神説

天白の起原を天ノ白羽に求める」(山田宗睦『天白紀行』)

 天白神社の起源を伊勢国だと仮定し、伊勢国の天白神社を中心に考察すると、この結論になりがちですが、私は「天白」は、本来は「天伯」だと思っているので、この説には共感できません。

(5)結論

 明治政府は、各神社に、祭神や由緒などを書いて提出することになりました。天白神社の場合、ご祭神を「天白神」としては再提出になりますので、記紀(『古事記』と『日本書紀』の総称)に載っている神の中から、ふさわしいと思われる神を選んで提出しました。(選べない場合は、明治政府が博士を派遣して選ばせました。)この結果、約50種類の天白神が登場しました。天白羽神説というのは「名前が似ている」ということで、博士によって天白神に比定されたのでしょう。(「謎の白羽神」の正体が天白羽神であるとする説には少し共感できます。)

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(6)私説:謎の「天白神」は「天伯神」だ!

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