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茅原定(虚斎)『茅窓漫録』「舎利并バサル」1833


 佛者のいふ舍利は、『飜譯名義』『金剛明經』『法苑珠林』等に多く載せて尊重せしより、此邦にも永觀律師が『舍利講式』、妙幢が『舍利驗論』、亮汰が『舍利禮科注』などに、佛者より至寶奇瑞の事さまざまに傳はれど、是は獸畜魚介にも多くあるものにて、實は病癖の凝竭(こりかたまり。Reco注:凝固)したる物なり、獸畜にある者は、『本草綱目』に載せたる「鮓答」なり、其色、白黑黃赤ありて一樣ならず。人にある者は、火燒する故に多くは瑩白なり。狗にあるを「狗寶」といひ、猿にあるを「猿棗」といひ、猪にあるを「猪靨」といふ。其中、馬に多くある者なり。至りて大なるは毬鞠(まり)のごとく、小なるは木樓(つぶ)子のごと

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