アイドルと旅する仏像の世界(7/8)
講師:駒澤大学仏教学部教(仏教美術史)・村松哲文(「講義の鉄人」)
https://www.yomiuri.co.jp/stream/article/09068/
ナビゲーター:アイドル界きっての仏像好き・和田彩花(元アンジュルム)
https://twitter.com/ayakawada
ゲスト:松田好花(日向坂46)
https://www.hinatazaka46.com/s/official/diary/detail/41790?ima
今回のゲストは、京都府出身の松田好花さん。「京都府出身」と聞いただけで、「お寺や仏像に詳しいはずだ」と思ってしまうが・・・。
■イメチェンで再始動
今回の仏像は、同じ真言宗でも女人禁制だった高野山金剛峰寺に対し、女人の参詣を許可し、「女人高野」と呼ばれて、女性の信仰を集めた室生寺(奈良県宇陀市室生。御本尊は如意輪観音)の釈迦如来坐像である。
室生寺の創建には次の2説がある。
①680年、天武天皇の勅願により、修験道の祖・役小角(役行者)が創建し、空海が中興した。創建時の御本尊は不明であるが、役小角の創建であれば、薬師如来の可能性が高いという。
室生寺で最も古い仏像は、弥勒堂の弥勒菩薩像であり、この弥勒堂には、なぜか役小角像も安置されている。また、室生寺は、役行者霊蹟札所、西国薬師四十九霊場第8番札所である。
②宝亀年間(770-780)に、山部親王(後の桓武天皇)の病気平癒を願い、興福寺の高僧・賢璟が勅命を受けて創建した。平安遷都まもなく、賢璟の高弟・修円が堂塔伽藍を建立した。
その後、空海の弟子で、修円とも親交の深い真泰が真言密教を携えて入山し、灌頂堂や御影堂等を整えた。
さて、現在の真言宗室生寺派の大本山・ 宀一山室生寺(山号の「宀一」は「室」のうかんむりと「生」の最後の一画だという)の御本尊は、金堂(国宝)の中尊・釈迦如来立像(国宝)で、脇侍は、右が薬師如来立像(重要文化財)、左が文殊菩薩立像(重要文化財)である。これらの像の手前には薬師如来を護る十二神将立像(重要文化財)が立っていた。(痛みがひどく、十二神将立像のうち6体は寶物殿(平成31年(2019年)に完成。コンクリートの乾燥期間を経て令和2年(2020年)9月5日に開館)に移されている。)
中尊像は現在は釈迦如来立像とされているが、光背に七仏薬師が描かれており、「本来は薬師如来立像として造立されたもので、イメチェンで(釈迦如来として)再始動」したという。
「イメチェンで再始動」とは、アイドルでいえば「けやき坂46(ひらがなけやき)」が「日向坂46」と改名したようなもの。女性でいえば髪の毛を短くするとか、染めるとか。衰退した神社で言えば、八幡神を勧請して、八幡社として再スタートするようなものですね。
※十一面観音(頭部に11の顔を持つ菩薩)
通例、頭上の正面側に柔和相(3面)、左側(向かって右)に憤怒相(3面)、右側(向かって左)に白牙上出相(3面)、背面に大笑相(1面)、頭頂に仏相を表す。この仏相=ポーカーフェイスを「仏頂面(ぶっちょうづら)」という。
■あやちょポイントは今回も無かった。
★女人高野・室生寺の公式サイト
http://www.murouji.or.jp/