『瀧山寺縁起』
『瀧山寺縁起』には、瀧山寺の創建から鎌倉時代末までの歴史が書かれており、鎌倉時代末の成立と考えられ、平安後期から鎌倉時代の岡崎市の様子を知るための重要な史料となっている。
原本は存在せず、江戸時代前期の写本が2種あるだけである。
(1)原文
『瀧山寺縁起』
夫三河国額田郡一宇有山寺号吉祥寺。役優婆塞草創霊地。(後略)
(2)書き下し文
『瀧山寺縁起』
夫(そ)れ、三河国の額田(ぬかた)郡に吉祥寺と号す一宇の山寺有り。〔一宇の山寺あり。吉祥寺と号(なづ)く。〕役優婆塞 (えんのうばそく) 草創の霊地(なり)。(後略)
(3)現代語訳
『滝山寺縁起』
三河国額田郡に「吉祥寺」という名の一宇の山寺があった。役優婆塞 (役小角、役行者) 開山の霊地(聖地)である。(後略)
(4)参考文献
★小林吉光「史料紹介~『滝山寺縁起』」(『岡崎市史研究』創刊号1979)
★岡崎市史料叢書『瀧山寺文書』(上・下)
瀧山寺は朱鳥元年(686)開山と伝わる天台宗寺院で、保安年間(1120-24)仏泉上人永救の代に堂宇が整備され、本格的な寺院として成立しました。
上巻では、三河の中世史を語るうえで欠かせない「瀧山寺縁起」を翻刻し、画像も掲載しました。また、慶長9年(1604)の検地帳などの寺領経営を示す資料をはじめ、瀧山東照宮の由緒書や勘定帳、当時の年中行事や明治初年の動向を示す史料などを収録しています。
https://rnavi.ndl.go.jp/mokuji_html/029262892.html
下巻では、現存する天保元年(1830)から明治5年(1872)までの寺務記録「年行事記録」38冊を翻刻し収録しました。近世後期から明治初期までの瀧山寺と領民の動向がわかります。
三河の天台宗の名刹・瀧山寺の歴史を語る上で、必須の史料集です。
・上巻(2018年発行)3800円、下巻(2019年発行)3900円
・編集/岡崎市史料叢書編集委員会 発行/岡崎市
https://www.city.okazaki.lg.jp/museum/publication/p022996.html
https://www.city.okazaki.lg.jp/1100/1109/1159/p011773_d/fil/sisikenkyu34.pdf
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