♦博多の人魚は長橋の橋姫か?
「宇治の橋姫」は、宇治橋の守り神だという。
さむしろに衣かたしき今宵もや我をまつらん宇治の橋姫(『古今和歌集』)
あじろ木にいさよふ浪の音ふけて獨や袮ぬる宇治の橋姫(『新古今和歌集』)
橋姫の心を汲みて高瀬さす棹のしづくに袖ぞ濡れぬる
(橋姫の(夫の帰りを待つ)寂しい心をお察しすると、高瀬(川の瀬の浅い所。浅瀬)にさす舟の棹の雫(実は涙)で袖が濡れる。)
「宇治の橋姫」は「橋下姫大明神」という神である。離宮八幡宮(石清水八幡宮の元宮)の神がこの姫神に通っておられたという説がある。また、一説に、住吉大明神が宇治の橋下に通ったといい、「さ筵に衣かたしき今宵もや我を待つらん宇治の橋姫」(『古今和歌集』(巻第14)「恋歌四」689。詠み人知らず)の歌は、住吉大明神の御詠歌だと言い伝えられている。
「ぬばたまの昨夜は帰しつ今夜さへ我れを帰すな道の長手を」(『万葉集』巻4-781。大伴家持)