19世紀英国紳士の日本的武術“バリツ”を習う時がきた。
バリツ。
その聞きなれないワードと出会ったのは、「シャーロック・ホームズ」からだった。そこでは日本の武術と説明されている。小6の僕は、素直にホームズが日本文化を知っていることに嬉しくなった。
だが、バリツなるものは、日本人の僕ではあるが、聞いた事も観たことも無かった。
ホームズの入門書・専門書を読みだすと、それは「柔術(bujitsu)」と説明されていたり、あるいは「バーティツ(Bartitsu)」という、ホームズの舞台である19世紀イギリスで開発されたステッキと柔術などを組み合わせたもがあったことを知る。
実際、Wikipediaにも項目があり、写真も添付されている。
ホームズは棒術・フェンシング、そしてボクシングにも長けていたとされているので、バリツというその両者の総合武術を駆使してもおかしくはない。
だが、小6以降の僕には、知識としては納得できても、いざそれがどういったものかを知る術はなかった。そのため、ホームズに憧れはするものの、あくまでも化学や犯罪史を調べることはあっても、護身術を習うことはなかった。
さて、高校に入ってから剣道部に所属することとなる。
これは、もちろん、ホームズの影響。また、その頃、歴史を本格的に興味を持ちだしたというのもあって、武士道といえば剣道、という判断でもって選択。
――――――ホームズを書きたいんじゃない、俺はなりたいんだ。平成のシャーロック・ホームズに。
そう感じていたのは僕だけではない。そう、工藤新一(『名探偵コナン』)である。彼は、ホームズの体力面を、サッカー部に所属することで真似る事とした。ちなみに、同作に登場する、西の高校生探偵・服部平次は剣道部。
さて、僕は僕なりにホームズの後を追っていたわけだが、実は近頃、バリツが再注目されている節がある。たとえばYouTubeでも、バリツを教えている方がいたりする。
そして、今月下旬には、平凡社から『シャーロック・ホームズの護身術 バリツ』という書籍が翻訳・出版されるのだ。
ホームズに出会ってからかなりの時間が経ったが、今もなお僕にとっては一番尊敬する人物として君臨している。そんな彼にまた一歩近づけるかもしれないという期待感。
ひとまずは傘で練習するだろうが…………やはり、いずれステッキも買いたいものだ。
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