長門有希との本の語らい
「なに読んでんだ?」とのキョンの言葉に、長門有希はただ黙って書名を見せ、再び読書へと戻る。その何気ない行為に、彼女の全てが表れているように僕は常々感じている。
決して閉じ籠りはしない。だが、ペラペラと語りだしたりなどもしない。
そんな彼女の一冊として有名な『ハイペリオン』を見かけたので買ってみた。前々から興味はあったが、文庫版だと上下巻なのが個人的ネックだった。
上下巻ものはあまり読み手が進まない傾向にあるからだ。僕は読了したら、次は別のジャンルへ進むようにしている。
小説を読めば、次は入門書や専門書、ミステリーの次は哲学、そしてSFなど、系統を変えて読むようにしている。
だからこそ、上下巻はあまり気持ちが乗ってこないということもあり、単行本の方を見つけ購入した次第。思えば、長門有希の読んでいた本のジャンルも、そんな風にころころと入れ替わっていた気がする。
ネットには「長門有希の100冊」というものがあるが、これを読んだとて“SOS団に不可欠な無口キャラ”にも、“対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース”にもなれるわけではない。
だが、偉人が読んだ物語・文章を、時代や地域を越えて自身でも読むことが読書の醍醐味であるとすれば、長門有希の消息をたずねるには良いきっかけになるだろうことは間違いない。
近頃は読書家キャラが減っているように感じる。個人的には寂しい。
リアルでも読書家、それも自分と趣味の合う本好きと出会うことは滅多にないのだから、せめて二次元の中では、理想的な本読みがいてほしいものだ。僕が『ダンタリアンの書架』が大好きなのも、概ねその辺りに起因している。
蔵書目録はこちら。綾波宗水の936冊(執筆時点)。
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