青白スピリット備忘録#11 ~勝つために必要なこと~
マジックで勝つには? インターネットというビックデータが存在する現代では一つの結論があります。そう、強いメタデッキを選択することです。
TCGという分析が難しい類のものでも、現代の知識体系の構成スピードに追い付かれていると言わざるを得ません。再現性も高く誰でも扱える、故にその知識は広がり大きな派閥を構成していきます。
そして構成された大多数のコミュニティはより洗練されたデザインを生み出す。正のスパイラルです。だから、メタデッキは強い、そのような側面もあると考えています。
しかし、人間そんな正論だけで進めるものではありません。私もその一人です。この記事はそんな天邪鬼で偏愛な私達に向けて書きたいと思います。
デッキリスト
今回の調整で大きく貢献して頂いた方
jectrush氏 https://x.com/ject_lol
OJTパイオニア環境
この2つのページを見ておけば概ね大丈夫です。日本と海外の違いがあるくらいでこのメタ上位はどれも勝てるパワーがあると言えます。
やはり着目するべきは以下の7つのアーキタイプ
吸血鬼
イゼットフェニックス
5cニヴ
探検
青白コン
黒単無駄省き
赤系アグロ
デッキによってはロータスコンボ対策も講じる必要があります。
調整の歩み
砂塵の憎悪という新しいカードに可能性を感じたところから調整がはじまりました。デッキの初期案は以下のリストです。
イゼットフェニックスに勝てないと厳しいという思いは燻っていました。だから、この砂塵の憎悪をバックアップするプランは火力除去しかないフェニックスにアドバンテージと別軸で勝つ方法だと思いこのリストを作成しました。このリストを調整しつつ得られた勝率がこんな感じです。
依然フェニックスに勝ち切れるようにはなっていませんが手ごたえは確かにありました。結果、探検、5cへの勝率は下がり、赤黒系へのアプローチとしてはかなり正解という事実が浮かび上がります。しかし、数字の事実のみで本質が見えていないと感じました。そこで不利マッチ3つに対して分析を行います。
この分析の手順は以下の手順を踏んでいます。
不利アーキタイプの構成要素を分解
勝つために必要な要素の列挙
1.2の要因と結びつくTCG的概念を列挙
3を実行できる具体的カードを選定
最終的に理想なリストを作成
この分析は非常に有効でした。私の幻想を悉くぶち壊してくれました。
対イゼフェニで活躍を期待しているのにも関わらず、必要な具体で一度しか挙げられていません。婚礼の発表の方が多い有様です。また、なぜイゼフェニにスピリットが不利なのか。その本質がはっきり言語化できた瞬間だったと思います。
また、本来のスピリットが持つ強みについて再確認しました。私は切り捨てるマッチがあることを嫌う傾向があります。調整が対策に寄りすぎてしまうのです。今回の調整は行き過ぎた調整でした。この気付きはjectruct氏の力が大きな比重を占めていると断言できます。この場を借りて感謝します。
そしてデッキの強さについて分析した結果、現在のリストに落ち着くことになります。
ポイント解説
スピリットの強みを最大化しつつ、除去にも強いデッキを目指した結果です。土地は序盤のアンタップイン、変わり谷の採用に重点を置きスムーズに相手を殴りきることにフルコミットしています。
サイドはアドバンテージ獲得手段を豊富に採用。黒系と真っ向勝負する構えを取っています。アグロと探検対策のポータブルホール。残りは致命的に刺さるカード群を採用し今のような構成にしています。
幽体の船乗り 4枚
ミッドレンジ化と称して一番パワーが低いとして不採用でした。しかし、アグロとして序盤のクロックを担ってくれるのはデッキの方向性で必須ということで4枚。終盤のフラッド受け、土地が伸びた時のバリューはすさまじいものがありました。
密輸人の回転翼機 3枚
スピリットはアグロでありながら土地を切り詰めることができないという矛盾があります。それを改善できるルーティングは必要という結論です。2マナパワー3と攻撃性能も申し分なく、婚礼や変わり谷の地上戦力を飛行戦力に変換する機能もかみ合いが良いです。
失せろ 3枚
メイン2枚サイド1枚とっていたところからメイン3枚にしました。このカード腐る場面なさすぎて毎回サイドインしていたからです。2マナ以下のカウンターが間に合わない脅威や対処しないと負けのカードをほとんど捌けるこのカードは非常に優秀です。
霊灯の罠 4枚
カウンターの利点はテンポアドバンテージとほぼすべてに1対1交換できる点です。それを最大化するにはより少ないマナで相手の重要なカードをカウンターすることです。エンチャとスピリットを要するようになったこのデッキで最上のカウンターと判断してこのカード1種に絞って採用しています。
変わり谷 4枚
コプターの項目で話した通り、スピリットは土地を切り詰めることができない矛盾があります。それを改善する一つとして変わり谷は最大まで採用したいと考えています。他のデッキと比べて部族シナジーを最も享受できるのも魅力です。廃墟の地から鎖鳴らしで守ることで勝った黒単無駄省き戦は数知れずです。
放浪皇 サイド 2枚
吸血鬼が流行る前のラクドスミッドへの対抗策として採用していたカード。弱いことはないが攻める姿勢が必要な現環境にかみ合っていないことに気づき、黒系へのサイドボードに変更しました。私の中で放浪皇は必須という固定概念が染みついていたのを払拭してくれたjectrush氏には頭が上がりません。
最終的な相性
パイオニア環境でのところで上げた仮想敵7種類に対する相性は以下の通りです。同じステータスでも上の方がより優位です。
青白コン(有利)
黒単無駄省き(有利)
吸血鬼(有利)
5cニヴ(有利)
赤系アグロ(先手ゲー)
イゼットフェニックス(五分)
探検(微不利)
本来の強みを生かすことにしたおかげで5cニヴへの相性が大幅に改善。その代わり、赤系アグロは有利から先手有利でかみ合い次第という感触まで落ち込みました。対探検も改善されたと感じます。これは探検に限った話ではないのですが、スピリットは相手の分回りに対応できるようなパワーはありません。特にメインの後手が顕著です。ですがそのようなパターンは少なく、アベレージ勝ちしているという印象です。
最後に
ここまで読んでいただきありがとうございました。これまでの備忘録と大きく形式を変えてみました。これからはこのような形の発信になるかと思います。興味があれば応援していただけると幸いです。一緒にスピリットでパイオニアを遊んでいきましょう。
蛇足:メジャーとマイナーの大きな違い
どれくらい研究されているか。マイナーデッキにとって大きなディスアドバンテージです。
メタデッキはネット環境が機械学習的によりよいものを更新し続けます。これに難しいことは必要なありません。強いといわれるデッキリスト試してその結果を共有する。数の暴力が勝率や自己体験の因果関係のみでも最適解を見つけることができます。その理論はブラックボックス化されていても使い方さえ分かっていれば答えが手に入るということです。
それに対抗する手段は勝てる理由を理解することだと考えています。上記の例でいうとブラックボックス化した中身を理解することです。現在の実情は「よくわからないけど優勝したこのリスト使ってみよう」とか「この記事でこうプレイするべきって書いてあったから」とか、手段と結果が直接結びついた知識が好まれており、実際それは非常に効率が良いです。
ここまで読んでいただけたような方はきっとmtgに勝つ以外の価値を見出して好きなデッキを選択しているような方が多いことと思います。ぜひ、その好きを貫くためにもメジャーにはない強みを理解し武器にしてほしいと思います。
私の場合はロジカルシンキングを使用した概念的分析でした。しかし、この方法以外の対抗策もあるはずです。それを見つけて試してよりよくしてイベントに臨んで楽しんでほしいと思います。
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