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Knowledge without conscience ruins the soul.

本日ICUの入学式に出席したので、印象深かったことを書き残しておきます。学部新入生は研究生なども含めて600名弱でした。一人ひとりの名前が呼ばれて紹介されるという、少人数の大学ならではの心のこもった式でした。讃美歌、祈祷、聖書朗読、学長式辞のあと、学生宣誓に全員がサインし、大学歌を歌って式は終わりました。

学長の言葉のなかで、わたしなりに受け取ったエッセンスは以下です。

  • 大学は試す場である。すでにある成功の型(=知識)に自分をあてはめていけば、独創性のない人生を送ることになる。ぜひ、試してほしい。

  • Science without conscience ruins the soul. 

  • ICU建学の精神(平和と和解)を受け継いで共に歩んでほしい。

一点目の、「大学は試す場」というのはどの大学も言うものの、実質的には入学前に専攻を決める必要があり、学部変更の壁は割と高いところが多勢です。この点で、この大学は言葉通り「試す」ことができるリベラルアーツの仕組みを取っており、大学の価値感がはっきりしています。18歳を振り返ると、親や学校から受けてきた呪縛が強く、得意/不得意や興味の自己認識も学校の活動を通じてしか分からないので、自分の関心を試すことができる仕組みは非常に理にかなっていると感じます。

二点目の学部長が新入生に贈ったこの言葉は、調べると以下のようにも言われているようです。
Science without conscience is but the ruin of the soul. 
Knowledge without conscience is only ruin of the soul.
ある人が息子に当てた手紙でルネッサンスについて語った内容の一部とのこと。知識は武器であり、良心のない力は魂の破滅を導く。三点目の建学の精神につながる言葉であり、現在の各地で戦争の相次ぐ世情の中にあってとても重く響く言葉でしたが、個人的にはもっと微細な日常の場面でも刺さる言葉でした。仕事においても、人生においても、手段は目的よりも現実を変える力が強いことがままあり、手段にとらわれて時間を費やしてしまうことが多い。むしろ、今までの時間がすべてそうだったようにも思う。また、威力の強い知識に頼って、手離してはいけないものを手放してきたようにも思う。幸福になりたいと願って、仕事に邁進し、成長し、昇進し、できることが増えても、それは何のためだったのか?一番大事なのは目的・意志であり、ここを見失ってはいけないなと思います。

三点目について、ICUは第二次世界大戦の後、アメリカの牧師によって、日本への償いと、平和と和解への願いを込めて、米国内の募金活動を経て建学されたそうです。設立は、1948年の世界人権宣言から4年半後の1953年、このため学生宣誓に世界人権宣言を遵守することが盛り込まれ、すべてのICU生はこの宣誓に署名しているとのこと。
わたしの卒業した高校は非常に歴史が古い学校で、校歌に「国家のために明け暮れ学ぶ」という歌詞があるのですが、ICUの立場はこれよりとても広い目的「世界の平和を実現する」という難しい課題に挑戦するという立場なのだなと感じました。

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