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「失われた時を求めて」を読み始める

今、「失われた時を求めて」を読み進めている。現在、第3巻の250ページ目。
全て読み終えた後に1個の記事にまとめようと思っていたのだが、全巻読み終えたころには、3巻目などほとんど忘れているだろうと思い、小刻みに書くことにした。多分この小説を読み返すことはこの先ない(あっても1度だろう)から、各巻の感想を具体的に残せるのも、読んだ直後しかないと思った。

1巻では、私(プルースト)が小さい頃に過ごした田舎「コンブレー」の思い出が中心。「紅茶の中のマドレーヌを嚙んだ時、当時の思い出がよみがえってきた」というのは、プルーストの名言のような扱いらしい。たしかに、こういう些細な食、匂いが、何十年前の思い出を急に蘇らせるというのは、ある話だろうと思う。

読み始め100ページほどは、文章の関係代名詞の連続が読みにくく、引用される偉人、芸術家は一人も知らないし、注釈が長すぎだし、内容自体ほぼ思想なため、全巻を読み通せるのか不安だった。しかし次第にプルーストの読み方が固まってきた。「文章の1文1文を理解するまで読み返すとキリがない」ということだ。実はすでに、1巻の内容はほぼ忘れた。マドレーヌと、ジルベルトとの出会い以外、何があったっけ? あと母親のおやすみのキス、ゲルマントの方への散歩の習慣……これで全部。

でも2巻を読み始めたとき、1巻で大体イメージできた「プルースト像」が頭に浸透して土台になっていたおかげで、1巻よりも早く読めた。思えばこれほど長い心理描写の小説は読んだことがない。これは物語ではないのだから、1ページまるまる読まなくたって、次のページに書いてあるのも同じようなことだから、支障はないのだ。そういうスタンスを持てたのは、よかったのかな。

あと、かっこ()の中の文章を後で読むというのもコツだ。かっこはあくまで補足だから、まずはかっこを飛ばして文章を流れるように読み、最後の。まで読んだ後に、かっこの中を読んで理解を深める。注釈も同じ。注釈が出てきた瞬間に注釈を読まない。これをやると、注釈を読んだ後に本文に戻って「で、どういう流れだっけ?」と二度手間になるから。

これが判明したのは、2巻だったかもしれない。2巻からは1日50ページという目安を決めたおかげで、テンポよく読み、忘れる前に読む!ができた気がする。

2巻は、スワンとオデットの恋。というかスワンの嫉妬。恋愛あるある。最初は女子側からぐいぐいきて、こっちは冷め気味。それが次第に逆転していき、最終的には、男側が好きすぎてつらい、ということになる。僕もこの経験があるし、みんな共感できることだから、1巻よりも2巻の方が大衆的だと思う。
スワンの性格は、好感が持てる。まず根底にあるのは逆張り。これが分かっているので、例えばスワンが社交界のサロンに行くシーンでは、「ああ、乗り気ではないんだろうな」と想像がつく。オデットという身分違いの女に惹かれるのも、この逆張りだろう。
ただオデットがどっかの絵画の女性に似ている→スワンはその絵が好き→オデットを見ると、その絵が動いているみたい→好き というのは、興味深い。言っていることは分かるが、僕はまだそんな高度な惚れ方をしたことないので、未知の世界である。
プルーストはかなり芸術が好きなんだろう、どのページにも絵画の引用が出てくる。

全ての巻の感想を書くかはわからない。とりあえず3巻目を明後日には読み終えたい。

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