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打出公園を訪ねる

今日、友人の車で芦屋の打出公園に行ってきた。打出公園は「風の歌を聴け」の鼠との出会いのシーンで出てくる公園である。

打出公園は阪神電車の打出駅から歩いて3分程度の場所にある。静かな住宅街の中にあり、車を止めるスペースはないので、前の通りの路肩に止めるしかない。

猿の檻と蔦だらけの図書館

ずっと前から行きたいと思っていたのだが、打出で他の用がないのでなかなか気が乗らなかった。結局公園に行っても何をするでもなく写真を撮って帰るんだろうな、ということは分かりきっていた。

とは言うものの、僕はGoogleマップを見るのが好きなのだが、なぜかいつも芦屋周辺にカーソルを合わせてしまい、打出公園周辺のストリートビューなんかを見ちゃったりしていた。ずっと心のどこかで気になっていたのだろう。

今日も本当は打出公園に行く予定はなかった。友人と西宮の喫茶店でお茶をしていたら、ふと打出公園を思いついた。その喫茶店から打出公園までは車で10分程度だったので、友人にお願いして連れて行ってもらった。ちなみに友人は村上春樹のファンではない。

そこが打出公園であることは、公園の後ろにある蔦だらけの図書館でわかった。村上春樹の小説に出てくる図書館で何かとモデルになっていると思われる図書館だ。その後に猿の檻が見えて、「おお、本物だ」と思った。

日曜だったし、1人くらい聖地巡礼中のファンがいるかなと思ったけど、公園には誰もいなかった。猿の檻と蔦だらけの図書館がなければごく普通の公園だ。しかしその2つがあるせいでなんとなく物語の気配がある。もちろん読者にしか分からないことだろうが。

猿の檻の奥には公衆トイレがあり、そこで小便をした。猿の檻の写真を撮った。したことはそれだけ。

公園を見渡してみると、村上春樹はいつもこの場所を思い出して公園を書いているんじゃないかという気がした。もちろん1Q84の滑り台の公園や海辺のカフカの猫がいる公園のような東京を舞台とした場所にはモデルがあるのだろう。けど、例えば昔の短編に出てくる漠然とした公園や、今回の新作の公園だって、やっぱりこの打出公園をイメージしながら書いているんじゃないかという気がしてならない。本人もそれほど多くの青春の場所を持っているわけじゃないだろうし。

結局、5分も滞在しなかった。その後にテニスの予定があったのだ。


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