今日の文学5「八人の男」
晶文社「今日の文学」シリーズ3冊目。今回は短編。面白い短編よりもつまらない長編が読みたい派なので気が進まなかったが、コレクションとして買った。岡山のロンサール書店さんに郵送してもらった。
黒人が書いた本を初めて読んだかもしれない。思えば、本屋にある海外文学のほとんどは白人によって書かれているんだなあと。
さて、この本には「〇〇な男」という短編が8つ入っている。1冊の本で世の中にいる色んな男を書いていて、立派な観察力だなあと感心した。
勉強になったのが、グロテスクな表現が多いというところ。差別に対するイライラからとても自然に暴力に繋がっていく。暴力のシーンはリアリティがあり、ついページをめくるのが早くなる。
差別というのも直接的に罵声を浴びるというより、白人からのふとした冷たい目線とか見下した態度みたいなものが積み重なって、それが一定の量に達した時に爆発するという感じらしい。あと、大袈裟に怖がられた時なんかにも怒りメーターは溜まるようだ。こういった暗い空気がこの本を串刺しにしていた。
短い記事になったが、これ以上あまり話すことがない。ページ数以上に疲れた本だった。読むモチベーションは下がらなかった。読み終えないと次の「今日の文学」シリーズに進めないから。
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