出版社には美人が多い
僕がバイトしていた文芸の編集部は大体50人くらいで、そのうちの6割は女性だったと思う。人数は女性がちょっと多いかなというくらいで、男性も結構いる。しかし年齢層は圧倒的に女性の方が若い。
入社するとまず全員の編集者のデスクに挨拶に行く(行かされる)。
「あらあら、初めまして!どうぞよろしくねえ」というフランクな人もいれば、「ああ、はい」というクールな人もいる。女性は基本的にフランクで、中でも20~30代の女性はかなりウェルカムな感じである。
出版社のフロアに立って最初に受けた衝撃が「なんで女子全員みんな可愛いんだ」だった。というのも、1人くらい「ちょっとこれは・・・」という女性がいてもいいじゃないかと思わせるほど、可愛くない女性がいないのだ。
中でも群を抜いていたのが2つ年上のSさんだ。服装もちょっとやりすぎなくらいのドレスアップで、髪色は金に近い茶色。おめめがぱっちりしていて、フロアをすたすたと歩く。こんなこと言いたくないけれど、「ああ、この人自信がありすぎてしょうがないんだ」という目でしか見れなくなった。
5つほど上?のKさんは、Sさんで隠れていたがとんでもない美人だった。高校の学年で1か2を争うレベルだと思う。KさんはSさんと違って(僕はSさんのようなタイプに厳しい)おしとやかで、余裕があって、彼氏がいたとすれば非の打ち所のない人なんだろうなという感じだ。
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1ヶ月も経たないうちに「なぜ出版社の女性はみんな美人なのか?」の謎が解けた。中年の男性作家に書かせるためだ。
編集者になると打ち合わせで作家と顔を合わせることになる。作家といえどただの男で(または女で)、男なら若い女が好きだし、逆も然り(今書いていて思い出したが、男性もイケメンが多い。ただし雰囲気込み)。そして作家はダラダラする。編集者との打ち合わせは時に文章を書くよりも楽しみになるのである。そこで担当の女性が美人かそうでないとでは、モチベーションが大きく変わってくるのである。接待なんかもある。一緒に寿司を食べるのでも、やはり美人編集者とのほうがいい。この女と会うためにここでしばらく書いてやるか・・・となるんだろう。
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新卒で出版社に入れた男は羨ましい。出版社同士の合コンなんてあれば、「俺はこの時のために入社したのだ!」という気持ちになるだろう。