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テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは?

多くの人が悩まされる「テニス肘」ですが、テニスをしていなくても発症する可能性があり、日常生活に支障をきたすこともあります。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは?
テニス肘は、正式には「上腕骨外側上顆炎」と呼ばれる肘の外側に起こる炎症です。手首や指を反らすための筋肉(伸筋群)が上腕骨の外側に付着していますが、その付着部に炎症が起こることで痛みが生じます。

なぜ起こるの?
・繰り返しの動作:手や腕を頻繁に使う作業やスポーツによって、筋肉や腱に過度な負担がかかります。
・年齢要因:30〜50代の中年層に多く見られます。
・喫煙:喫煙者はリスクが高まるとされています。

テニスという名前がついていますが、実際にはテニスをしていなくても発症することが多いです。特に、手をよく使う職業の方や家事で手を酷使する方に見られます。

主な症状は?
・肘の外側の痛み:特に肘の外側から少し手首寄りの部分に痛みを感じます。
・握る・絞る動作での痛み:タオルを絞ったり、ペットボトルの蓋を開ける動作で痛みが強くなります。
・前腕のしびれ:まれに前腕にしびれを感じることがあります。

どうやって診断するの?
以下の方法で診断します。
・問診と身体診察:症状や日常生活での動作を詳しく聞きます。
・中指伸展テスト:中指を反らそうとする際に抵抗を加え、肘の外側に痛みが出るか確認します。
・他の疾患の除外:頚椎症性神経根症や橈骨管症候群、変形性肘関節症など、他の原因を排除するために追加の検査を行うこともあります。

治療法は?
保存療法が基本です。

薬物療法
・消炎鎮痛薬の内服・外用:痛みや炎症を和らげます。
・注射療法:痛みが強い場合、局所麻酔薬やステロイドを患部に注射します。最近では、自己の血液から作成する「多血小板血漿(PRP)」を用いた治療も行われています。

物理療法
・ストレッチ:伸筋群のストレッチを行い、筋肉の緊張を緩和します。これにより、炎症部へのストレスを減らすことができます。
・装具の使用:テニス肘用バンドを装着し、筋肉への負担を軽減します。バンドは肘より少し手首側に巻き、適度な締め具合で使用します。

手術療法
・手術:保存療法で効果がない場合、炎症を起こしている組織を取り除く手術を検討します。最近では、関節鏡を使った手術が増えています。

日常生活での注意点
・荷物の持ち方を工夫する:手のひらを下に向けて(回内位)物を持つと負担がかかります。手のひらを上に向けて(回外位)持つようにしましょう。
・喫煙を控える:喫煙は治りを遅くする可能性があるため、禁煙を検討しましょう。
・適度な休息:手や腕を使う作業を長時間続けないようにし、適度に休憩を取りましょう。

予後と再発について
・再発が多い:治療後も再発することがあります。日常生活での注意が重要です。
・日常生活への影響:利き手に症状が出ることが多く、家事や仕事に支障をきたすことがあります。
・治療効果:短期的には注射療法、長期的にはストレッチが効果的とされています。

テニス肘は、手や腕をよく使う人に起こりやすい肘の炎症です。早めに適切な治療を行うことで、症状の改善が期待できます。肘や前腕に痛みや違和感を感じたら、無理をせずに医療機関を受診しましょう。


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