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ダンピング症候群とは?

ダンピング症候群とは、胃を部分的に切除したり、胃と腸を直接つなぐ手術(胃腸吻合術)を受けた後に起こる消化器の不調です。手術後に食べた食物が急激に腸に流れ込むことで、さまざまな症状が引き起こされます。この症候群は手術後1〜2週間頃に食事を本格的に始めたときに発症することが多いですが、術後数年経ってから出ることもあります。通常、時間が経つにつれて症状は軽くなることが多いです。
 
ダンピング症候群のタイプ
ダンピング症候群には、発症時間によって「早期ダンピング症候群」「後期ダンピング症候群」の2種類があります。
 
1.早期ダンピング症候群
発症時間:食後20〜30分以内に起こり、1〜2時間持続します。
原因:濃度の高い食物が急激に腸内に入るため、腸内に水分が引き寄せられ、血液量が一時的に減少します。また、腸壁が急速に拡張されることで消化管ホルモン(セロトニン、ブラジキニン、ヒスタミンなど)が増加します。
主な症状:腹痛、嘔吐、頻脈、冷や汗、顔面紅潮、めまいなど。
治療法:
食事の回数を増やし、1回の量を減らしてゆっくり食べるようにします。
糖質の少ない高蛋白・高脂肪の食事にし、食事中の水分を控えることが推奨されます。
薬による治療(消化管の運動を抑える副交感神経遮断薬や消化管ホルモンを抑える薬)も効果があります。
 
2.後期ダンピング症候群
発症時間:食後2〜3時間後に発症し、30〜40分持続します。
原因:食後の血糖値が急激に上昇すると、それを下げようとしてインスリンが大量に分泌されます。その結果、血糖値が急激に低下し、低血糖状態になります。
主な症状:冷や汗、頻脈、倦怠感、手の震え、場合によっては失神や痙攣。
治療法:
発作が起きたときは糖分を摂取することで症状が和らぎます。
食事内容でのコントロールが難しいため、医師の指導が必要です。低血糖の抑制には、α-グルコシダーゼ阻害薬が効果的とされています。
 
ダンピング症候群の検査
後期ダンピング症候群が疑われる場合は、「ダンピング誘発試験」が行われます。50%のブドウ糖液を飲用して、低血糖の発現有無を確認し、血糖値が50 mg/dL以下に下がっているかなどをチェックします。
 
まとめ
ダンピング症候群は、手術後の患者さんにとって大きな負担となる症状ですが、食事療法や薬による対応で多くの症状が改善されます。自分の体の変化に気づいたら、医師に相談し、適切な治療や対策を講じることが大切です。

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