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急性肝不全(劇症肝炎)について

急性肝不全とは?
急性肝不全とは、正常な肝臓に急激な障害が発生し、短期間で肝機能が著しく低下する病態です。症状が出てから8週間(56日)以内に血液凝固機能の指標であるPTが40%以下またはINRが1.5以上になると、急性肝不全と診断されます。

急性肝不全が起こる原因
急性肝不全の原因は多岐にわたり、以下のような要因が含まれます。
1.ウイルス性肝炎(約30%):特にB型肝炎ウイルスによるものが多いです。
2.自己免疫性肝炎(約10%)
3.薬物性肝障害(約15%):特定の薬剤が肝臓にダメージを与えることがあります。
4.成因不明例(約25%):原因が特定できないもの。
5.その他:循環障害や術後の肝障害、妊娠性脂肪肝など。

急性肝不全の症状
急性肝不全の主な症状には以下が含まれます。
1.全身症状:発熱、全身倦怠感、黄疸、出血しやすさ、腹水や浮腫、腎不全による尿の減少など。
2.腹部症状:腹痛や肝臓の縮小。
3.神経症状:意識障害(肝性脳症)や羽ばたき振戦(手が震えるような症状)。

診断方法
急性肝不全の診断にはさまざまな検査が行われます。
・画像検査(超音波やCT):肝臓の萎縮や腹水の有無を確認します。
・血液検査:肝機能の指標(AST、ALT、ビリルビン、アンモニアなど)を測定します。
・病理検査:肝細胞の壊死や炎症の状態を確認します。

治療方法
急性肝不全の治療は、肝臓に対する治療と同時に、全身管理も重要です。

1.全身管理
・輸液管理:肝臓に負担をかけないように、アミノ酸を含まない輸液を使用。
・肝性脳症対策:腸内のアンモニアを減らすためにラクツロースやリファキシミンといった薬が使われます。
・脳浮腫対策:脳の腫れを抑えるためにマンニトールなどを使用。

2.人工肝補助療法
・血液をきれいにするための透析や血漿交換が行われることがあります。

3.原因に応じた治療
・B型肝炎:核酸アナログ製剤やインターフェロン療法。
・自己免疫性肝炎:ステロイド治療が有効です。

4.肝移植
・肝移植は予後を大きく改善する手段の一つで、移植後の救命率は比較的高いです。

予後(病気の見通し)
急性肝不全の予後は、昏睡の有無や病気の進行度によって異なります。意識障害がない場合は比較的予後が良いですが、昏睡状態に進行すると救命が難しくなります。特にB型肝炎が再活性化した場合の救命率は数%と低いです。

まとめ
急性肝不全は急激に肝機能が低下する危険な病態であり、早期診断と迅速な対応が必要です。日常生活で気になる症状がある場合には、早めに医師に相談することが大切です。

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