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オピオイドの貼付剤について

オピオイドの貼付剤は、皮膚に貼ることで鎮痛成分を徐々に体内に吸収させる薬剤です。特に、がん性疼痛や慢性疼痛の管理に使用されます。持続的な鎮痛効果が得られ、副作用が少なくなるよう工夫されています。
 
主なオピオイドの貼付剤
1.フェンタニル貼付剤
・商品名:デュロテップMTパッチ、フェントス®など。
・特徴:
 ・強力な鎮痛作用を持つフェンタニルを含む。
 ・皮膚から薬剤が吸収され、血中濃度が一定に保たれる。
 ・貼付期間:72時間(3日間)持続。
・適応:
 ・がん性疼痛や強い慢性疼痛。
・副作用:
 ・便秘、吐き気、眠気、まれに呼吸抑制。
2.ブプレノルフィン貼付剤
・商品名:ノルスパン®テープ。
・特徴:
 ・部分作動薬で、依存性や呼吸抑制リスクが低い。
 ・貼付期間:7日間持続。
・適応:
 ・慢性疼痛(非がん性の痛みも含む)。
・副作用:
 ・便秘、めまい、吐き気、貼付部位のかゆみ。
 
貼付剤の使用方法
1.貼付部位の選択
・上腕、胸部、背中など、毛の少ない平らな部位に貼る。
・貼付部位は毎回変える(同じ場所に連続使用しない)。
2.貼り方
・皮膚が乾燥し、清潔な状態で貼付する。
・切らずにそのまま貼る(薬剤の放出が変わる可能性があるため)。
3.貼り替え
・フェンタニル貼付剤:3日ごとに交換。
・ブプレノルフィン貼付剤:7日ごとに交換。
4.廃棄方法
・使用済みの貼付剤は薬剤が残っている可能性があるため、医師や薬剤師の指導に従い適切に廃棄。
 
貼付剤のメリット
1.持続的な鎮痛効果
・長時間にわたり安定した血中濃度が保たれる。
・痛みの波を軽減。
2.服薬が不要
・経口薬が困難な患者(嚥下障害など)に適している。
3.副作用が少ない
・急激な血中濃度の上昇がないため、副作用が抑えられる。
4.患者の負担軽減
・貼り替え頻度が少なく、日常生活に支障が出にくい。
 
貼付剤の注意点
1.皮膚の状態を確認
・貼付部位にかゆみ、発赤、湿疹が出る場合は医師に相談。
2.入浴や発汗時の注意
・貼付剤は通常入浴やシャワーで剥がれにくいが、強い発汗や温熱が加わると薬剤の吸収が増加し、副作用のリスクが高まる。
3.貼付の際の手洗い
・貼付後は手を洗い、薬剤が皮膚から吸収されるのを防ぐ。
4.他の薬剤との併用
・鎮静薬やアルコールとの併用は、呼吸抑制のリスクが高まるため注意。
 
貼付剤の副作用と対策
1.一般的な副作用
・便秘:下剤の併用を検討。
・吐き気:制吐薬の併用。
・眠気:用量調整や活動時間帯を工夫する。
2.貼付部位の副作用
・かゆみ、発赤:貼付部位を毎回変える。
・貼付前に皮膚の清潔を保つ。
3.重篤な副作用(まれ)
・呼吸抑制:高用量で発生するリスクがあるため、医師の指示を厳守。
 
貼付剤の適応患者
・がん性疼痛や慢性疼痛で、継続的な痛みの管理が必要な患者。
・経口薬が難しい患者(嚥下困難など)。
・痛みの波を抑えたい患者。
 
まとめ
オピオイドの貼付剤は、長時間持続的に痛みをコントロールできる便利な治療法です。フェンタニル貼付剤は強い痛みに、ブプレノルフィン貼付剤は中等度の痛みに適しており、患者の生活の質を向上させます。使用時には、貼付部位の管理や副作用への対策を徹底し、医師の指示に従って適切に使用することが大切です。

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