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前立腺癌について

前立腺癌は、前立腺に発生する癌の総称で、ほとんどが腺癌です。 非常にまれに、移行上皮癌、扁平上皮癌、神経内分泌癌、肉腫などが発生することもあります。 前立腺癌は男性ホルモン(アンドロゲン)の存在によって発育することが知られています。

発生原因
現在のところ、前立腺癌の発生原因は不明ですが、以下の要因が危険因子として指摘されています。
・遺伝的要因
・動物性脂肪の過剰摂取(高トリグリセリド血症)
・βカロチンの摂取不足
・肥満(BMI≧30)

前立腺癌の進行過程
前立腺癌は、一般的に以下の3つの段階を経て進行します。
1.限局癌:前立腺にとどまっている状態。
2.局所進行癌:前立腺の外部へ広がっている状態。
3.転移癌:骨盤内リンパ節や骨などに転移している状態。

前立腺癌の診断
前立腺癌の診断には、病理組織学的検査が必要です。 検査の流れとしては、まず、各種検査で前立腺生検が必要かどうかを判断します。 生検が必要と判断された場合は、前立腺生検を行い、確定診断後に病期を診断するための検査を行います。

スクリーニング(生検が必要かどうか)のための検査
・直腸診:肛門から指を挿入し、前立腺を触診する検査。
・血清前立腺特異抗原(PSA)検査:血液中のPSAの値を測定する検査。 前立腺癌があるとPSAの値が高くなる傾向があります。
・経直腸超音波検査:肛門から超音波プローブを挿入し、前立腺を観察する検査。

確定診断のための検査
・前立腺生検:前立腺組織を採取し、顕微鏡で観察する検査。 前立腺癌の確定診断には必須の検査です。

病期診断や治療効果判定のための検査
・CT・MRI検査:前立腺癌の広がりや転移の有無を調べる検査。
・骨シンチグラフィー:骨への転移の有無を調べる検査。
・尿道膀胱造影:尿道や膀胱の状態を調べる検査。
・精巣造影:精巣や精嚢の状態を調べる検査。

前立腺癌の治療法
前立腺癌の治療法は、癌の進行の程度、患者の年齢や健康状態、患者の希望などを考慮して決定されます。 主な治療法は以下のとおりです。
・手術療法:前立腺を摘出する手術。 癌が前立腺内にとどまっている場合に有効な治療法です。
・放射線療法:放射線を用いて癌細胞を破壊する治療法。 手術が困難な場合や、手術後の再発予防などに用いられます。
・内分泌療法:男性ホルモンの働きを抑えることで癌の増殖を抑える治療法。 転移癌などに用いられます。
・監視療法・待機療法:癌の進行が遅く、症状がない場合は、積極的な治療を行わずに経過観察を行う治療法。
・フォーカルセラピー:癌のある部分だけに治療を行う治療法。 正常な組織をできるだけ残すことで、副作用を軽減することを目的としています。

予後
一般的に、前立腺癌は進行が遅い癌であり、予後は比較的良好です。 しかし、癌の進行度や治療法によって予後は異なります。
 

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