ノロウイルス感染症とは？

ノロウイルスは小児の感染性胃腸炎の主な原因で、感染者の便や嘔吐物を介して家庭や保育所での集団感染を引き起こすことが多い感染症です。感染力が非常に強く、アルコール消毒が効かないため、特に注意が必要です。

流行時期と感染経路
・流行時期：秋から春（11月〜3月）に流行が見られます。
・感染経路：主に経口感染です。

病態
ウイルスに汚染された食物（カキや二枚貝など）を生で食べたり、加熱が不十分な調理で摂取したりすることで発症します。また、感染者の便や嘔吐物、汚染された物品や食品を介して二次感染が起こることもあります。

主な症状
・潜伏期間：24～48時間
・症状：嘔吐や水様性下痢が主症状で、腹痛や発熱も見られることがあります。ロタウイルスと同様に、まれに循環血液量減少性ショックを引き起こすこともあります。

診断
多くの場合、症状や周囲の感染状況から推測して診断します。確定診断には、糞便を用いたノロウイルス抗原検出迅速検査キットが用いられますが、感度の問題があり、保険適用は3歳未満、65歳以上、免疫不全患者などに限られます。

治療
特効薬はなく、対症療法が中心となります。
・安静：十分な休養をとります。
・水分補給：経口補水液などで水分補給します。
・栄養補給：消化の良い食品を少量ずつ摂取します。
脱水症状が強い場合には、輸液が必要となります。
下痢止めの使用は控えます。

経過
通常、1〜3日で症状が改善し、ロタウイルス感染症より短期間で治癒することが多いです。

予防対策
・手洗い：流水と石鹸で洗います。特に食事前やトイレ後に徹底しましょう。
・食前加熱：十分に加熱してから摂取しましょう。
・感染拡大防止：標準予防策に加え、汚物の密閉、汚染された衣類の加熱消毒、次亜塩素酸ナトリウムによる環境消毒を行います。

ポイント
・ノロウイルスはアルコール消毒が効かないため、次亜塩素酸ナトリウムを使った消毒が必要です。
・嘔吐物や糞便は使い捨て手袋とマスクを着用して処理し、次亜塩素酸ナトリウム（漂白剤）で消毒します。
・症状が軽快しても通常1週間、長い場合は1ヵ月程度ウイルスが便に排出され続けるため、二次感染に注意が必要です。