心房細動(AF)とは?
心房細動(AF)は、心房の各部分が無秩序に電気的興奮するため、正常なP波が消失し、心拍のリズムが不規則になる状態を指します。心房の興奮が不規則に心室に伝わるため、心拍も不整になりやすくなります。
好発しやすい人
・高齢者
・高血圧患者
・弁膜症や心不全、虚血性心疾患などの心疾患がある方
・甲状腺機能亢進症などの基礎疾患がある方
この疾患では左房内に血栓ができやすく、心原性塞栓症の予防が重要です。
主な症状
1.動悸(心臓がドキドキする感じ)
2.脈拍が不整(リズムがバラバラ)
心電図の特徴
・RR間隔が不整
・QRS波は基本的に正常(狭いQRS波で不整脈)
・P波が見られない
・基線に細かい動揺(心房細動波[f波])が確認される
治療法
治療は、緊急性、AFの持続期間、基礎的な心疾患の有無によって異なります。
1.塞栓症予防
血栓ができて血管を詰まらせるリスクを下げるため、抗凝固療法(ワルファリンや直接阻害型経口抗凝固薬(DOAC))を使用します。
2.レート治療
心拍数を抑える治療です。β遮断薬、Ca拮抗薬(ベラパミルなど)、ジギタリス製剤が一般的に用いられます。
心不全や心機能低下がある場合にはアミオダロン、WPW症候群の際にはNaチャネル遮断薬が使われることもあります。
3.リズム治療
・洞調律化:正常なリズムに戻すために、カルディオバージョンやNaチャネル遮断薬(ⅠaまたはⅠc群)、Kチャネル遮断薬を用います。
・再発予防:再発を防ぐために、カテーテルアブレーションやNaチャネル遮断薬(ⅠaまたはⅠc群)、Kチャネル遮断薬が使用されます。
また、基礎疾患がある場合には、その治療も併せて行います。
このように、心房細動は患者の状況に合わせた多様な治療法があるため、医師とよく相談しながら最適な方法を選択することが重要です。